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CINEMA 4D基礎1: 自動車のモデリングとアニメーション

■講座テキスト

  1. CINEMA 4D基礎1: 自動車のモデリングとアニメーション
  2. CINEMA 4D基礎 2: カメラとXPressoを追加する
  3. CINEMA 4D基礎 3: レンダリング
  4. CINEMA 4D基礎 4: モデリング
題名 内容、及び関連する章 作成日/注記
051 1_自動車のモデリングとアニメーション 初めに、初期設定、サンプル、オブジェクトを作る、インターフェイス、階層化、スプラインとスイープ、編集可能にする、スプラインに沿う、アニメーションのコントロール、ヌル 2014.3.31

 はじめに、CINEMA 4Dを使う上での心構えについて説明します。

1. 気楽に使う

CINEMA 4Dを挫折する人の中には、優秀な人がたくさんいます。
それは考えすぎてしまうからです。現在のCINEMA 4Dは非常に複雑で難しいソフトなので、「全てを理解して使う」というのはもう無理です。
わからないことがあっても「こだわらずに先に進む」ようにしてください。

2. 初心に戻る

CINEMA 4Dを挫折する人の中には、2DCGや3DCADに詳しい人がたくさんいます。
それは自分の流儀をCINEMA 4Dに持ち込もうとするからです。CINEMA 4Dの考え方はアニメーションが基本になっているので、そうでないソフトの考え方を持ち込んでもうまくいきません。
初心に戻って初めから覚えなおしてください。その方が結局早くて楽です。

3. 簡単に作る

CINEMA 4Dには非常に多くの機能がありますが、それは使う人や仕事の内容によって必要な機能が違うからです。一つの作品で使う機能が多いわけではありません。
自分の思い通りに作品を作れない時、ついつい「新しい機能」や「プラグイン」に飛びついてしまうものです。
その結果シーンはどんどん難しく複雑になっていきますが、それでうまくいくことはまずありません。基本的な機能を使って簡単に作るよう心がけてください。

4. 確実に作る

CINEMA 4Dを挫折する人の中には、センスのいい人がたくさんいます。
それは考えずに使うからです。CINEMA 4Dのシーンファイルは、例えば折り紙のようなものです。考えずに紙を折っても意味のある形にはなりません。
自分の思い通りに作品を作れない時、ついつい片っ端から「知らないボタン」を押してしまうものです。
しかし、意味のない操作を繰り返せばシーンは壊れて元に戻らなくなります。自分の理解できる範囲で確実に作ることを心がけてください。
知らないボタンは押さない、ゴミは捨てる。

Step 2

初期設定

 CINEMA 4Dのデフォルトインターフェイスは使いにくいので、この講習会ではカスタマイズしたインターフェイスを使います。
まず講習会のページから掲示板に移動し、「CINEMA 4D講座関連」の中の「講習会で使うCINEMA 4Dのカスタム設定について」のスレッドを開きます。
その最後にR15用の設定ファイルがあるので、それをダウンロードしてください。次に、CINEMA 4Dを起動し、「編集 -> 一般設定」の下にある「一般設定フォルダを開く」ボタンを押します。
すると、ユーザーのライブラリフォルダの中に入っているCINEMA 4Dの初期設定フォルダが開きます。次に、CINEMA 4Dを終了します。CINEMA 4Dは終了時に初期設定を更新するので、起動したまま初期設定ファイルを変更すると、終了時に元に戻されてしまいます。
最後に、元のファイルをダウンロードしたファイルに置き換えます。
図051-2

Step 3

サンプル

 この講座で作るサンプルムービーです。
図051-3

Step 4

オブジェクトを作る

 CINEMA 4Dでは、オブジェクト(立体)が基本的な単位になっています。オブジェクトにもいろいろありますが、まず一番簡単な「プリミティブ」の中の「立方体」を作ります。
多くのオブジェクトにはオレンジ色のハンドルがあり、ドラッグで大きさや性質を変えられます。
新規に作成したオブジェクトは、右上にあるオブジェクトマネージャに表示されます。さらに、オブジェクトの名前の部分をダブルクリックすると変更できます。
CINEMA 4Dのオブジェクトはいろいろな「働き」を持っているので、重要なオブジェクトには必ず名前を付けるようにしてください。次に、左下のマテリアルマネージャをダブルクリックすると新規マテリアルが作成されます。
マテリアルというのは3D独自の考え方で、マテリアルとリンクすることでオブジェクトに色をつけます。
このようになっている理由は、3Dには色だけでなく、透明度や鏡面反射、バンプ等多くの性質があるからです。
オブジェクトごとに全ての性質を指定するのは大変なので、一つのマテリアルにまとめて、複数のオブジェクトがそれを共用するようになっているのです。
マテリアルをエディターのオブジェクトにドラッグすると、オブジェクトにリンクできます。オブジェクトマネージャのオブジェクトにドラッグしても構いません。画面中央にあるのがエディターです。エディターの右上には4個のボタンがあり、そこでマウスをドラッグすると画面を移動、前後移動、回転できます。
マウスを右ドラッグすると、画面を前後移動、ズーム、画面内の回転できます。
これらのボタンにはショートカットがあり、数字の「1」、「2」、「3」キーを押しながら画面をドラッグして画面を動かすこともできます。また、マウスのホイールを回すと前後移動できます。
一番右の四角いボタンは画面を分割表示させるためのボタンです。分割表示された画面のボタンをもう一度押すと元に戻ります。
図051-4

Step 5

インターフェイス

 オブジェクトが見えなくなった場合は、エディターの「ビュー -> 初期の表示」等を使って元に戻すことができます。
また、ビューの取り消しは「cmd+shift+z」で、オブジェクトの取り消し「cmd+z」とは別になっています。
オブジェクトを複製するには、controlキーを押しながらオブジェクトをドラッグします。
これはOSでファイルを複製する操作と同じです。同じ操作でマテリアルや他の部品(タグやXPresso等)も複製できます。また、エディターでオブジェクトを複製することもできます。
複製したオブジェクトは全く同じ場所に置かれるので、見た目は変わりません。ちょっとずらしてみましょう。
この時、画面の空いている部分をドラッグするとオブジェクトが斜めに動いてしまうので、オブジェクトの中心にある軸の頭をつかむように注意してください。
複製したマテリアルのカラーを変えて、エディターのオブジェクトにドラッグすると、オブジェクトのテクスチャタグが2個になります。
これは別に間違いではなく、マテリアルを「重ね塗り」した状態になっています。左から順に塗っていくので、オブジェクトは右側のテクスチャタグの色に見えます。ただし、これらのマテリアルは「ベタ塗り」で下のマテリアルは見えないので、deleteキーを押して消しても構いません。その方がすっきりします。
使わないものが散らかっていると後々トラブルの元になります。
また、テクスチャタグの上に直接マテリアルをドラッグすれば、マテリアルを置き換えることもできます。
図051-5

Step 6

階層化

 次に「階層」について説明します。CINEMA 4Dには、2Dソフトによくある「グループ」という機能がありません。その代わりより強力な「階層」という機能を使います。
3Dの階層は、基本的にOSのフォルダやディレクトリと同じものです。しかし、3Dの場合「回転」という操作があるので、階層の働きはより重要です。
オブジェクトを階層化するには、オブジェクトを別のオブジェクトにドラッグします。
グループと違って、階層には必ず上下(親子)関係があり、親を動かすと子供がついてきますが、子供を動かしても親はついてきません。また、親が持っているマテリアル等の属性は子供に引き継がれます。
オブジェクトの右にはいくつかのボタンがあります。一番左のボタンはレイヤを指定するためのボタンです。
CINEMA 4Dのレイヤは、CADやIllustrator等のレイヤとほとんど同じで、レイヤ単位でオブジェクトの表示やロックを切り替えることができます。また、オブジェクトだけでなく、マテリアルやタグ等も同じレイヤで管理できます。
中央のボタンは、オブジェクトの表示/非表示を切り替えるボタンです。上下に二個ありますが、上がエディターでの表示、下がレンダリングでの表示に対応しています。
ボタンの状態は、「グレー(従う)」、「緑(表示)」、「赤(非表示)」の三通りあります。
デフォルトはグレーになっていて、親オブジェクトが非表示にすると、子オブジェクトも自動的に見えなくなります。もし、子オブジェクトだけ表示させたい場合はこのボタンを緑にしてください。
オブジェクトの表示はアニメーションすることもできます。これらのボタンに対応するパラメータが属性マネージャの「基本」ページにあるので、そこでキーを打ってください。一番右のボタンについては次のステップで説明します。
図051-6

Step 7

スプラインとスイープ

 次に、スプラインオブジェクトを作ります。CINEMA 4Dのスプラインは、CADの線やIllustratorのパスと同じもので、それらのソフトから読み込んだり書き出すこともできます。
ツールバーには上にオレンジのツール、下に水色のツールが並んでいますが、上がIllustratorのペンツール、下が、長方形ツールや文字ツールに相当します。
まず「円形」スプラインを作成し、「平面」をXZに切り替えます。また、位置を台の上面に合わせます。次に「長方形」スプラインを作成し、「幅」を40、「高さ」を10に変更します。位置はどこでも構いません。次に、「スイープ」オブジェクトを作成します。スイープは特殊なオブジェクトで、「2個の部品スプラインから1個のオブジェクトを作る」という働きを持っています。
普通のソフトでは、この機能はメニューコマンドから実行することが多いでしょう。しかし、メニューから実行するとその場で確定してしまい、後で部品スプラインを変更した時にもう一度作りなおす必要があります。
そこでCINEMA 4Dではこの機能をオブジェクトの中に組み込み、「常に更新する」ようなっているのです。
スイープは、子オブジェクトを2個、もしくは3個使います。最初の子オブジェクトが「断面」となり、2番目の子オブジェクトが「パス」となります。
3番目の子オブジェクトは、断面の傾きをコントロールする「レール」で、傾きをコントロールする必要がなければ、置かなくても構いません。
図051-7

Step 8

編集可能にする

 スイープの右にはいくつかのボタンがありますが、一番右にある「緑のチェック」はそのオブジェクトが働いていることを表しています。このボタンをクリックすると「赤のバツ」に変わり、オブジェクトの働きが一時停止します。
オブジェクト内部の部品を編集したい場合や、機能の確認をしたい場合、動作が重い場合等に、機能を一時停止します。表示/非表示の機能に似ていますが、道路の中に入っていたスプラインの部品はちゃんと見えています。
ヌルオブジェクトのように何の機能もないオブジェクトの場合このボタンは表示されません。
また、表示/非表示やオブジェクトの状態は、属性マネージャの「基本」ページにも表示され、ここでアニメーションを付けることもできます。次に、「円形」スプラインを「編集可能」にします。このコマンドには多くの働きがありますが、ここではIllustratorのアウトライン化と同じように使います。
このコマンドはよく使うので、「c」というショートカットが割り当てられています。
ここで「ポイント」モードに切り替えて、ポイントをドラッグするとスプラインの形状を自由に変形できます。これまではずっと「モデル」モードで作業してきましたが、これはIllustratorの選択ツールに相当します。そして、「ポイント」モードは、Illustratorのダイレクト選択ツールに相当します。
CINEMA 4Dにはこの他ポリゴンを操作するための「ポリゴン」モードや「エッジ」モードがあります。
このままビューでポイントを編集すると斜めに動いてしまうので、上面ビューに移動します。上面ビューであれば、軸をつかまなくても平面内で動かせます。
ポイント編集する際にこの軸が邪魔であれば、エディターメニューの「フィルタ -> 軸」のチェックを外すことで非表示にできます。現在のCINEMA 4Dでは、ポイントが選択されていない状態で直接ポイントをドラッグすると、普通にドラッグできます。
ポイントが選択されている場合は、どこをドラッグしても選択されたポイントが移動します。
スプラインにポイントを追加するには、controlキーを押しながらスプラインの上をクリックします。
何もないところをcontorolクリックした場合は、最初のポイントの外側にポイントが増えます。
最後のポイントの外側に追加したい場合は、shift+controlクリックします。ポイントを消去したい場合はdeleteキーを押します。
ハンドルの長さや向きがおかしくなった場合は、エディターの中を右クリックし、メニューから「ソフト補間」を選択すると適当にハンドルを作りなおしてくれます。
ハンドルを折りたい場合は、shiftキーを押しながらドラッグします。紛らわしいのですが、ポイントをクリックした後shiftキーを押すと移動方向を軸に制限できます。
図051-8

Step 9

スプラインに沿う

 次に自動車を作ります。自動車には「フィレット」を付けます。ここでは簡単なフィレットしか付けませんが、フィレットはフォトリアルな絵を作るために非常に重要です。
次に、「スプラインに沿う」タグを追加します。スプラインに沿うは元々アニメーションの機能ですが、現在のCINEMA 4Dでは「オブジェクトの性質」としてタグの中に入っています。
タイムラインから独立したおかげで、時間に拘束されずにアニメーションの機能を使うことができます。
「パススプライン」フィールドに「円形」スプラインをドラッグすると、自動車が道路の上に移動します。そして、「スプライン上の位置」の値を変えると、自動車が道路の上を移動します。
この時、まだ「時間」には触っていないことに注意してください。それではこのパラメータにキーを打ちます。「キー」というのは、パラメータの値を時間に対応させるものです。
「タイムマーカー」を0に移動し、「スプライン上の位置」の値を0に変更し、パラメーターの上で右クリックして「アニメーション -> キーフレームを追加」を選択します。さらに、タイムマーカーを150に移動し、「スプライン上の位置」の値を100に変更し、パラメータの左にあるボタンをcontrolクリックします。これでキーを作成できます。
キーを2個打つことで初めてアニメーションがつきました。「アニメーション」というのは、時間に対応してオブジェクトの位置や形状や色が変化することです。
再生ボタンを押して、アニメーションがついていることを確認してください。
図051-9

Step 10

アニメーションのコントロール

 ただし、このアニメーションにはまだいろいろと問題があります。これから順番に修正していきましょう。
まず、自動車の向きが道路に沿って変わるようにします。スプラインに沿うタグの「接線方向を向く」をチェクしてください。次に、自動車がスプラインの最初のポイントの部分で減速しないようにします。
デフォルトでは減速するようになっていて、普通はこれで自然に見えるのですが、今回はサーキットの周回なので減速しない方が自然です。また、デフォルトは、プロジェクト設定の「キー補間」ページで変更できます。
タイムラインを開き、「キーモード」から「Fカーブモード」に切り替えます。Fカーブモードはキーの間の変化を表示させるモードです。次に、表示させたいトラックを選択し、ウインドウ内で右クリックし、「全体を表示」を選択します。次に、2個のキーを選択し、ウインドウ内で右クリックし、「線形」を選択します。次に、道路上のコーナーやポイントが密集している部分で自動車が遅くなってしまう問題を解決します。
これは、デフォルトで重要な部分を細かく分割するよう最適化しているためで、普通は問題になりません。しかし今回は、自動車の速度が均等になるようにします。
そこで円形スプラインを選択し、「補間法」の値を「最適」から「均等」に変更します。
均等にするとコーナー部分でポリゴンの分割が粗くなるので、「分割数」の値を大きくします。
現在のコンピューターであれば、ポリゴン数を気にする必要はほとんどありません。むしろ、ポリゴンのカクカクの方が気になるので、多め多めに設定してください。
図051-10

Step 11

ヌル

 最後に、道路に潜っている自動車を道路の上に引き上げます。この修正は、これまでのようにオプションやパラメータを変更するだけではできません。
なぜなら、自動車は「スプラインに沿う」タグによってスプラインに拘束されていて、動かせないからです。
タグを一時停止すれば動かせますが、今度はアニメーションしなくなります。
これはユーザーが指定したことですから、変えようがありません。
そこで、簡単なトリックを使います。この方法は、いろいろな形に応用できます。まず、ヌルオブジェクトを作成します。
ヌルオブジェクトは形も機能も持たない簡単なオブジェクトですが、軽くて邪魔にならないので、他のオブジェクトの補助としてよく使います。次に、自動車に付いていた「スプラインに沿う」タグを、ヌルに移します。
すると、アニメーションが自動車からヌルに移動し、ヌルが道路の中を走るようになります。そして自動車は止まります。次に、自動車をヌルの子オブジェクトにします。すると、自動車が変な動きをするようになります。これは、ヌルと自動車の位置がずれているからです。
ヌルに対する自動車の位置と角度を0にするために、「reset_pos_rot」スクリプトを実行します。ショートカットは「cmd+/」です。
もしくは、座標マネージャで位置と角度の値を全て0にして、「適用」ボタンを押しても構いません。
これで、元通り自動車が道路の中を走るようになります。ただし、実際に走っているのはヌルで、自動車はヌルに「乗っかっている」だけです。
ですから、自動車を上に持ち上げれば、道路の上を走るようになります。
これで、自動車を走らせるアニメーションの基本部分は完成です。
図051-11

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