次に、GIの設定をします。GIの設定は、原理を理解しようとするとすると難しいですが、簡単なルールでほとんどのシーンに対応できるという意味では簡単です。ただし、GIのデフォルト値やプリセットにはおかしな値が入っているので、絶対に使わないようにしてください。まず、レンダリング設定で「アンビエントオクルージョン」を入れます。アンビエントオクルージョンは「奥まった部分を暗くする」機能で、ライティング機能そのものではありませんが、GIと併用することで絵のクオリティーを上げることができます。
「レイの最大距離」は暗くする範囲を決めるパラメータで、「20」に変更します。また、「透過を考慮」オプションをチェックします。これは、透明なオブジェクトの周囲を暗くしないためです。
次に、レンダリング設定で「グローバルイルミネーション」を入れます。
「セカンダリの方式」を「イラディアンスキャッシュ」に、「拡散反射回数」を「4」に変更します。これらの項目は固定です。
次に、「サンプル」を「カスタムサンプル数」に、「サンプル数」を「64」に変更します。この値は、シーンのコントラストに応じて、64から2048の間で毎回調節します。
例えば、薄曇りの屋外はコントラストの低いシーンで、スポットライトが並んでいる暗い部屋はコントラストの高いシーンです。
また、値を変える時は倍々で変えてください。100と200では大違いですが、1900と2000ではほとんど変わりません。値を大きくすると高いコントラストに対応できます。
次に、「レコード密度」を「低」に変更し、「密度」を「20」に変更します。この値も固定です。
次に、「最小間隔」と「最大間隔」の値を「32」に変更します。この値はシーンの細かさに応じて、4から64の間で毎回調節します。
例えば、大きな平面で構成された現代建築は粗いオブジェクトで、細かい意匠をたくさん含むルネサンス期の教会等は細かいオブジェクトです。この値も倍々で変えてください。値を小さくすると細かくなります。
最後に、「スクリーンスケール」オプションは外します。この値も固定です。
この状態でレンダリングすると、間接光によって影の中が照らされているのがわかります。ただし、間接光を追加したために明るくなりすぎていることや、間接光が青空を反映して全体に青みがかっていることなど、問題もあります。
これらの問題は、「太陽」の「強度」や「カラー」を変えたり、GIの「強度」を変えることで簡単に解決できます。
次に、「タワー」や「自動車」等いくつかのオブジェクトのマテリアルに「鏡面反射」を指定します。こうすると、空オブジェクトに適用したパノラマHDR画像が映り込み、また絵のクオリティーが上がります。
ただし、周囲に映り込む画像やオブジェクトが存在しない状態で鏡面反射を入れても何も起こりませんから、注意してください。
最低限のライティングやマテリアルを設定した後、各パラメータを調整して絵作りをしていきます。
逆に言えば、これ以前の状態でいくらアニメーションやモデリング、テクスチャ作業をがんばっても、それが最終的にどのような絵になるか判らず、後で多くの調整作業が必要になります。
ですから、なるべく早い段階でライティングとマテリアルを設定するようにしてください。
図053-3 |
Comments are closed.