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CINEMA 4D基礎 3: レンダリング

題名 内容、及び関連する章 作成日/注記
053 レンダリング ライトと影、空オブジェクトとパノラマHDR画像、グローバルイルミネーション(GI)、レンダリング設定とモーションブラー、Team Render 2014.4.22


Step 1

ライトと影

  さて、052章までの作業によって高度なアニメーションを含んだシーンを作ることができました。しかし、絵としてはとても貧弱です。この状態から絵のクオリティーを上げていくには、まず最低限のライティングが必要です。もちろん、ディティールのモデリングや、テクスチャを貼る作業も必要です。しかし、それらはライティングの後に行うものです。なぜなら、ライティングが決まっていないとモデリングやテクスチャ作業の結果を絵としてチェックできないからです。

しかもライティングは簡単で、10分もあれば終わります。もちろん、似たようなシーンを作る場合は、古いシーンのライティングを使い回しても構いません。というか、ほとんどの場合そうします。

ライティングがあることで、その後の作業の効率やクオリティーは確実に上がります。どんな仕事でも作業開始後数時間以内にシーンをライティングし、絵として確認するようにしてください。

まず、シーンにライトを追加します。ライトを置くときの基本は、「あるべきところに置く」です。部屋の真ん中等ライトが存在しないところにライトを置くのはダメです。また、天井にある多数のライトを1個にまとめるのもダメです。ライトの数が1000個以下なら、本物通りに置いてください。

ライトの数が1000個を超えたり、面が発光している場合は、ライトの代わりに発光するマテリアルを使います。エリアライトは絶対に使わないようにしてください。これはR7以前に使われていた機能で、現在は使いません。

このシーンは屋外なので、太陽に相当する「無限遠ライト」を追加します。無限遠ライトはエディターの中心に出てきますが、ここから光が出るわけではありません。これは無限遠ライトの方向を決めるハンドルのようなものです。

無限遠ライトはデフォルトで水平線上にあり、シーンは暗く見えます。そこで、回転ツールに切り替えて無限遠ライトのZ軸(青い軸)が下を向くように回転させると、シーンが明るくなります。

しかし、絵の質感はほとんど変わらず貧弱なままです。

そこで、「影のタイプ」を「エリア」に変更します。すると、影が表現され、絵の立体感や遠近感が一気に向上します。ここで、「無限遠の角度」を「0.5」から「2」に変更しています。これは影のボケを調整するもので、薄曇りが多い日本ではこのぐらいがちょうどいいからです。

図053-1

Step 2

空オブジェクトとパノラマHDR画像

 ただし、まだまだ十分なライティングではありません。影の中が真っ黒です。現実には、太陽の光は空や周囲のオブジェクトによって反射され、影の中を照らします。このような効果を「間接照明」と言いますが、これを表現するのがグローバルイルミネーション(GI)です。それでは、まず空を表現するために「空」オブジェクトを追加します。空オブジェクトは無限に大きな球で、これに360度のパノラマHDR画像を貼れば簡単に環境を作ることができます。

ここで、HDRとはハイダイナミックレンジの略で、簡単に言うと「100%よりも明るい色を含む」という意味です。普通Photoshopで画像を編集する場合、100%以上の明るさは意味がないのですが、CINEMA 4Dの場合、画像がオブジェクトを照明したり映り込んだりするので、100%と1000%ではレンダリングされる絵が全く異なるのです。

AfterEffectsを使っている人はよく「背景は後で合成するから要らない」と言いますが、CINEMA 4Dにおいて背景は最大のライトであり、鏡面反射される絵です。たとえ後で別の画像を合成するにしても、なるべく近い色や明るさの背景を置く必要があります。そうしなければ、背景と3Dは合いません。

次に、コンテンツブラウザからHDR画像を選択します。パノラマHDR画像は自分で撮影することもできますが、素材集もいろいろ出ています。パノラマHDR画像は絵のクオリティーに大きな影響を与えるので、納得できる画像を使うようにしてください。

パノラマHDR画像は空全体に貼るので、10000ピクセルを超える解像度が必要です。また、デフォルトのプレビュー解像度では粗くてよくわからないので、「テクスチャプレビューサイズ」を「1024*1024」等に上げます。

図053-2

Step 3

グローバルイルミネーション(GI)

  次に、GIの設定をします。GIの設定は、原理を理解しようとするとすると難しいですが、簡単なルールでほとんどのシーンに対応できるという意味では簡単です。ただし、GIのデフォルト値やプリセットにはおかしな値が入っているので、絶対に使わないようにしてください。まず、レンダリング設定で「アンビエントオクルージョン」を入れます。アンビエントオクルージョンは「奥まった部分を暗くする」機能で、ライティング機能そのものではありませんが、GIと併用することで絵のクオリティーを上げることができます。

「レイの最大距離」は暗くする範囲を決めるパラメータで、「20」に変更します。また、「透過を考慮」オプションをチェックします。これは、透明なオブジェクトの周囲を暗くしないためです。

次に、レンダリング設定で「グローバルイルミネーション」を入れます。

「セカンダリの方式」を「イラディアンスキャッシュ」に、「拡散反射回数」を「4」に変更します。これらの項目は固定です。

次に、「サンプル」を「カスタムサンプル数」に、「サンプル数」を「64」に変更します。この値は、シーンのコントラストに応じて、64から2048の間で毎回調節します。

例えば、薄曇りの屋外はコントラストの低いシーンで、スポットライトが並んでいる暗い部屋はコントラストの高いシーンです。

また、値を変える時は倍々で変えてください。100と200では大違いですが、1900と2000ではほとんど変わりません。値を大きくすると高いコントラストに対応できます。

次に、「レコード密度」を「低」に変更し、「密度」を「20」に変更します。この値も固定です。

次に、「最小間隔」と「最大間隔」の値を「32」に変更します。この値はシーンの細かさに応じて、4から64の間で毎回調節します。

例えば、大きな平面で構成された現代建築は粗いオブジェクトで、細かい意匠をたくさん含むルネサンス期の教会等は細かいオブジェクトです。この値も倍々で変えてください。値を小さくすると細かくなります。

最後に、「スクリーンスケール」オプションは外します。この値も固定です。

 

この状態でレンダリングすると、間接光によって影の中が照らされているのがわかります。ただし、間接光を追加したために明るくなりすぎていることや、間接光が青空を反映して全体に青みがかっていることなど、問題もあります。

これらの問題は、「太陽」の「強度」や「カラー」を変えたり、GIの「強度」を変えることで簡単に解決できます。

次に、「タワー」や「自動車」等いくつかのオブジェクトのマテリアルに「鏡面反射」を指定します。こうすると、空オブジェクトに適用したパノラマHDR画像が映り込み、また絵のクオリティーが上がります。

ただし、周囲に映り込む画像やオブジェクトが存在しない状態で鏡面反射を入れても何も起こりませんから、注意してください。

最低限のライティングやマテリアルを設定した後、各パラメータを調整して絵作りをしていきます。

逆に言えば、これ以前の状態でいくらアニメーションやモデリング、テクスチャ作業をがんばっても、それが最終的にどのような絵になるか判らず、後で多くの調整作業が必要になります。

ですから、なるべく早い段階でライティングとマテリアルを設定するようにしてください。

図053-3

Step 4

レンダリング設定とモーションブラー

 次に、アニメーションを書き出すためにレンダリング設定のパラメータを設定します。まず、「レンダラー」を「フィジカル」に変更します。まず、「出力」ページで「幅」と「高さ」を適当な値に変更します。

また、「フレームレンジ」を「全てのフレーム」に変更します。

次に、「保存」ページで適当な「ファイル名」を指定します。ファイル名を指定しないと画像が保存されないので注意してください。

また、右端のボタンを押してフルパスを入力すると、画像を外部HD等に保存できますが、シーンファイルを別のコンピュータに移した場合に画像を保存できなくなるので注意してください。

画像を外部HDに保存したい場合は、シーンファイル自体を外部HDに置くのが基本です。

フォーマットは、最終的には「連番、HDR」にするのがおすすめですが、今回はプレビューなので「QuickTimeムービー」にします。圧縮は「H264」がおすすめです。

「アンチエイリアス」ページでは、「マイナス成分をクリップ」をチェックします。これによって、極端に明るいオブジェクトの周囲に黒いフリンジが出るのを防止できます。

「オプション」ページでは、「しきい値」の値を「1」に変更します。これは、反射光や屈折光の明るさが1%以下になったら計算をそこで止めるという意味です。

これで一度「画像表示にレンダリング」を実行します。すると全てのフレームがレンダリングされ、ファイルが保存されます。

レンダリングを中止するには「esc」キーを押すか、画像表示ウインドウの「ファイル -> レンダリングを停止」を選択します。レンダリングを停止しても、それまでにレンダリングされた画像やムービーは正常に保存されます。

全てのフレームをレンダリングする前に、何カ所かレンダリングして設定忘れがないかチェックしてください。また、ライティングやマテリアルも必要に応じて微調整します。

 

最後に、アニメーションをスムーズに見せるために「モーションブラー」をチェックします。モーションブラーは二つのフレームを補間する機能なので、「ビューをレンダリング」機能でエディターをレンダリングしても表現されません。

図053-4

Step 5

Team Render

 最後に、TeamRenderを使ってレンダリングします。TeamRenderはR15から追加されたネットワークレンダリング機能です。まず「TeamRenderマシン」ウインドウを開き、ネットワーク上に使えるコンピュータがあるかどうか確認します。もし「使用不可」になっている場合は、「一般設定」の「TeamRender」ページで「TeamRenderを有効にする」をチェックしてください。また、ここで「コンピュータ名」と「セキュリティトークン(パスワード)」を適切に設定しておいてください。

TeamRenderを有効にすると、現在ネットワーク上でTeamRenderクライアントが走っているコンピューターの名前が「TeamRenderマシン」にリストされます。

もし他に空いているコンピュータがあれば、それらのコンピュータでTeamRenderクライアントを起動します。これらのクライアントにも適切な「コンピュータ名」と「セキュリティトークン」を設定しておいてください。

他のコンピュータでTeamRenderが起動すると、「TeamRenderマシン」に「未認証」の状態でリストされます。そこで、リストを右クリックして「認証」を選択し、適切なセキュリティトークンを入力します。

すると、そのコンピュータが認証され、ネットワークレンダリングできるようになります。

最後に、「画像表示でTeamRender」を実行します。すると、ネットワーク上の各コンピュータにフレーム単位でレンダリング作業が分散され、レンダリングされた画像が集まってきます。

そして、レンダリングが全て終了するとQuickTimeムービーに変換されます。

ここで、あるウインドウの中にマウスポインタを置いた状態で「control+tab」キーを押すと、そのウインドウを最大化できます。

レンダリングが完了したムービーは、画像表示の中で再生することもできますし、もちろんデスクトップで再生することもできます。

ここまでのシーンファイル。

図053-5

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