変位チャンネルはマテリアルの機能ですが、「オブジェクトの形状を変える」という意味ではモデリングツールやデフォーマとしての働きも持っています。
また、モデリングツールやデフォーマの場合と同じように、ポイントを動かして形状を変えるので、ポリゴンの分割数以上に細かい凸凹は表現できません。
変位も古くからある機能です。昔はオブジェクトを十分細かく分割できず、使える状況が限られていましたが、CPUやOSが64bit化し、メモリーを大量に使えるようになった現在では手軽に使えます。
変位を使う場合、シェーダであれ実写画像であれ変位テクスチャを用意する必要があります。そして、それをアルファチャンネルに適用すれば、簡単に変位した部分のマテリアルを塗り分けることができます。
これも変位の利点の一つで、モデリングで形状を作る場合、ある部分のマテリアルを塗り分けるには、また別の作業が必要になります。
図027-7
変位テクスチャをアルファチャンネルにも適用して、複数のマテリアルを重ねたオブジェクト(サンプル027aのフレーム6)。
また、変位にはさらに三つのオプションがあります。
3a. 初期の変位は、バンプと同じようにグレースケール画像を使って上下の凸凹だけを表現していました。
これに対して、現在の変位では法線と同じようにRGB画像を使って斜め方向の凸凹を表現できるようになっています。
ただし、これも実際に凸凹をモデリングして差分を取る必要があり、面倒なのでほとんど使いません。
図027_8
サンプル027c
テクスチャを焼成タグを使って変位テクスチャを作る。
3b. 初期の変位は、オブジェクトのポイントをそのまま変位していました。
これに対して、現在の変位にはレンダラーの内部でポリゴンを細分化する機能があります。
これは「SPD(サブ・ポリゴン・ディスプレイスメント)」と呼ばれ、より多くのポリゴンを軽く扱えるのですが、バグが多いので使わないことをお勧めします。
その代わり、SDS(サブ・ディビジョン・サーフェイス)で同じことができます。
図027-9a、b
サンプル027d
左は元になる粗いオブジェクト。右は変位テクスチャ。
図027-10a、b
左はSPDを使って細分化したオブジェクト(フレーム1)。右はSPDの代わりにSDSを使って細分化したオブジェクト(フレーム2)。
3c. 初期の変位は、マテリアルのチャンネルでだけ使えました。
これに対して、現在の変位はデフォーマの中でも使えます。
デフォーマには、「エディターで変形を確認できる」、「減衰機能を使える」、「XPressoで操作できる」等いろいろな利点があるので、現在ではほとんどの場合デフォーマの中で変位を使います。
図027-11
SDSで細分化し、変位デフォーマで変形させたオブジェクト(フレーム3)。
変位デフォーマにはSPDがないので、代わりに「SDS(サブディビジョンサーフェイス)」を使います。
SDSはエディターとレンダラーで異なった分割数を指定できますが、レンダラーで細かめに分割しておくとSPDと同じように軽く多くのポリゴンを扱えます。
また、変位デフォーマにはRGBの変位テクスチャを使うモードがないので、3a.の機能を使いたい場合は変位チャンネルを使うようにしてください。
また、MoGraphの「シェーダ」イフェクターをデフォーマモード(ポイント)にすると、変位デフォーマと同じように使えます。
シェーダイフェクターを使うと、「ディレイ」イフェクター等他のイフェクターの効果を重ねることができます。
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