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R16 マテリアル基礎01- 基本的なチャンネル

R16 マテリアル基礎

レベル/ 対象者:基礎/CINEMA 4Dを少し使える人。
対象ソフトウエア、プラグイン:CINEMA 4D R16
冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章 作成日/注記
025 1_基本的なチャンネル 2015.5.7

Step 1

はじめに

  一般的に、「絵」の品質は多くの設定の組み合わせによって決まります。これは別に3DCGに限ったことではなく、絵画や写真の場合も同じです。どの設定が一番重要か、またどの設定が一番難しいかは、制作者の考えや作品によって大きく変わりますが、大体次のような順番になると私は考えています。1. 照明とカメラ

絵を作る時に一番基本となるのは、「照明」と「カメラ」です。これは、「光」と「目」に対応します。この二つがなければ、そもそも絵は成立しません。

そして、この二つを自分のイメージ通りに設定できれば、他に何の設定もしなくても、十分な品質の絵を作ることができます。

逆に、もしこの二つの設定がおかしければ、他の部分をどんなにていねいに設定しても、いい絵を作ることはできません。

美術の授業では、最初に「石膏デッサン」を行いますが、これは照明とカメラだけで絵を作るための訓練だと言えます。

図025-1

サンプル025a のフレーム0

 

2. マテリアルとアニメーション

照明とカメラの次に重要なのは、「マテリアル(質感、材料)」です。

照明とカメラは、シーン(劇場や舞台)に属するもので、オブジェクト(演技者)の属性ではありません。それに対して、マテリアルは個々のオブジェクトの質感を説明します。

また、映像を作る場合は「アニメーション(演技)」もオブジェクトを説明するための重要な属性です。

マテリアルとアニメーションをイメージ通りに設定できれば、多様な表現が可能になります。映像の場合は、「音」も同じぐらい重要なのですが、これはCINEMA 4Dでは作れません。

美術の授業では、次の段階で「静物デッサン」を行いますが、これはガラスや布、金属、果物といった多様な質感を描き分けるための訓練だと言えます。

図025-2a、b

左は、中央の球体にガラスのマテリアルを(フレーム1)、右は発光するマテリアルを適用した例(フレーム2)。

 

 

3. テクスチャとモデリング

オブジェクトの「ディティール(詳細)」を説明するための補助的な属性が「テクスチャ」と「モデリング」です。これは、言ってみれば演技者が着ている衣装や舞台のセットのようなものです。

ただし、ここで言う「テクスチャ(模様)」は、手で描いたりカメラで撮影したテクスチャに限定します。ノイズやグラデーション等のシェーダで作ったテクスチャは、マテリアルの側に含めます。

また、ここで言う「モデリング」は、特に「細部のモデリング」に限定します。オブジェクトを作って組み合わせること自体は含めません。

テクスチャやモデリングは、リアルな絵を作るために不可欠ですが、「照明」や「マテリアル」に優先するものではありません。

図025-3a、b

左は、中央の球体に画像を適用した例(フレーム3)。右は詳細なモデリングを追加した例(フレーム4)。右の絵のポリゴンを見る(025-3c)

 

この章では、マテリアルマネージャと、よく使うチャンネルについて説明します。

 

 

Step 2

マテリアルマネージャとレイヤ

 CINEMA 4Dでは、マテリアルマネージャを使ってマテリアルを作成し、管理します。マテリアルの基本的な操作方法は次の通りです。 図025-4

1. 新規マテリアルを作るには、マテリアルマネージャのメニューから「ファイル -> 新規マテリアル」を選択します。

また、空いている部分をダブルクリックして作ることもできます。

マテリアルのプレビューをダブルクリックすると、「マテリアル編集」ウインドウが開きます。マテリアル編集は古いインターフェイスですが、マテリアル専用に作られているので、素早く作業できます。

2. マテリアルの名前を変えたい場合は、名前をダブルクリックします。

また、マテリアル編集や属性マネージャで変更することもできます。

3. マテリアルを複製するには、「controlキー」を押しながらマテリアルをドラッグします。

また、普通にコピー&ペーストすることもできます。

4. マテリアルを消去したい場合は、「deleteキー」を押します。

シーンに使われていないマテリアルを消去したい場合は「ファンクション -> 未使用マテリアルを消去」を使います。

5. マテリアルをオブジェクトに適用するには、マテリアルをオブジェクトマネージャに表示されたオブジェクト名の上にドラッグ&ドロップします。

また、エディターのオブジェクトに直接ドラッグ&ドロップしても構いません。

6. オブジェクトに既にマテリアルが適用されている場合、マテリアルをテクスチャタグの上にドラッグ&ドロップすると、リンクが置き換えられます。

7. オブジェクトに適用されているテクスチャタグを選択すると、リンクされているマテリアルがオレンジ色の枠で囲まれます。

逆にマテリアルからリンクされているオブジェクトを調べたい場合は、マテリアル編集の「適用オブジェクト」ページを使います。

8. エディター上で、オブジェクトにはマテリアルのプレビューが表示されますが、これの解像度を上げたい場合や、アニメーションを反映させたい場合はマテリアル編集の「エディタ」ページを使います。

9. マテリアル編集のプレビューの大きさや表示を変えたい場合は、プレビューを右クリックします。

 

マテリアルをグループ分けしたい場合は、「レイヤ」機能を使います。

CINEMA 4Dのレイヤは、オブジェクトやマテリアル、タグ、キー等すべての機能を一元的に管理できますが、特にマテリアルはレイヤ以外に管理する方法がないのでよく使います。

図025-5

 

1. グループを作りたい場合は、まずマテリアルを選択し、マテリアルマネージャのメニューから「ファンクション -> 新規レイヤに追加」を選択します。

すると、マテリアルマネージャにタブが表示され、タブの左上とマテリアルの左上に同じ色が付きます。

あるタブを選択すると、そのレイヤに含まれているマテリアルだけが表示されます。

また、左端にある「全て」タブを選択すると全てのマテリアルが表示され、「レイヤなし」を選択すると、レイヤに含まれていないマテリアルが全て表示されます。

2. レイヤの名前を変えたい場合は、タブをダブルクリックします。

また、レイヤマネージャでレイヤ名をダブルクリックしても構いません。

3. 別のマテリアルグループを作りたい場合は、同じように「ファンクション -> 新規レイヤに追加」を選択します。

4. 新しく作ったマテリアルを既存のレイヤに含めたい場合は、「ファンクション -> レイヤに追加」を選択するか、マテリアルをタブにドラッグアンドドロップします。

また、マテリアルをレイヤマネージャのレイヤ名にドラッグ&ドロップしたり、レイヤ名をマテリアルにドラッグ&ドロップしてレイヤに含めることもできます。

また、あるレイヤを選択した状態で新規マテリアルを作ると、初めからそのレイヤに含まれます。

5. レイヤ名の左にあるカラーボタンをダブルクリックするとレイヤのカラーを変更できます。

 

 

Step 3

カラー

  「カラー」チャンネルは、マテリアルの基本的な性質の一つです。マテリアルには多くのチャンネルがありますが、実は一本の光に注目した場合、その光には「前に進む(透過する)」か「止まる(消える)」か「後ろに戻る(反射される)」かの三つの選択肢しかありません。それに、RGBの色によって結果が変わるとか、透過、反射する時にあるルールにしたがって向きが変わるといった性質を組み合わせて、複雑なマテリアルを表現しているのです。

まず、カラーチャンネルは「ランダムに反射される光」を表現し、拡散反射(ディフューズ)ともいいます。

光は、基本的にはライトから飛んできますが、GI(グローバルイルミネーション)を使っている場合は、周囲のオブジェクト(マテリアル)からも飛んできます。

図025-6

サンプル025bのフレーム0

 

色に関しては、カラーチャンネルが白くても、青い光しか入ってこなければ、青い光しか反射されません。

また、カラーチャンネルが赤ければ、白い光が入ってきても、赤い光しか反射されません。

図025-7a、b

左はライトの色が(フレーム21)、右はカラーの色が最終的な色(絵の色)に影響している(フレーム22)。

 

次に、光がランダムに反射されるといっても、完全にランダムなわけではありません。マテリアルの表面に細かい凸凹があると、光をライトの方に反射しやすくなります。

キャッツアイなどはその極端な例ですが、布やセラミック等自然界に存在する多くのマテリアルもこの性質を少なからず持っています。

この性質を表現するには「オレン・ネイアー」という照明モデルに切り替え、「表面粗さ」の値を大きくします。

図025-8a、b

左は表面粗さが0(フレーム14)、右は200(フレーム15)。

現実世界において、全ての物質はカラーの性質を持っています。必ず設定して下さい。

 

 

Step 4

発光

 「発光」チャンネルも、マテリアルの基本的な性質の一つです。私はカラーチャンネルの説明で「光には三つの選択肢しかない」と書きましたが、発光はこれには含まれません。発光は「何も無いところから光が生まれる」現象です。いきなり光が生まれるので、光が飛んでいく方向は完全にランダムです。つまり、どこから見ても同じ色に見えます。

また、周囲から入射する光には影響されません。

図025_9

フレーム1

図025-10a、b

左はライトなし(フレーム23)、右はライトのカラーが青い場合(フレーム24)

 

現実世界において、全ての物質が発光の性質を持っているわけではありません。しかし、発光するものは小さくても目立ちます。これは発光するものが人間にとって有益だったり危険だったりするからです。

本来なら、発光するものはライトで表現するのですが、複雑な形をしていたり、数が多い場合は発光するマテリアルで表現する方が簡単です。GIを使えば、発光するマテリアルでシーンを照明できます。

絵作りにおいて、発光するマテリアルの働きはライトと同じです。

冒頭に書いたように、ライトはマテリアルよりも重要な設定ですから、そういう意味では、発光チャンネルはマテリアルの中でも最も重要なチャンネルだと言えます。

 

 

Step 5

透過、屈折

 透過チャンネル自体はR12から変わっていませんが、屈折によって自動的に生じる鏡面反射の性質を反射チャンネルで変更できるようになっています。「透過」は、「透過する光」を表現するチャンネルで、マテリアルの基本的な性質の一つです。

透過とは、マテリアルの屈折率が1.0の場合で光の方向は変わりません。背後のオブジェクトが透けて見えるので、網戸やストッキングのようなマテリアルを表現できます。

「屈折」は、屈折率が1.0以上(以下)の場合で、光の方向が変わると同時にフレネルの法則に従って鏡面反射が生じます。これは、ガラスや透明な液体を表現する場合に使います。

図025-11a、b

左は透過するマテリアル(フレーム2)。右は屈折するマテリアル(フレーム3)。

 

そして、透過は基本的な性質の中で一番設定が難しいチャンネルでもあります。

その理由はいろいろあるのですが、大体以下の通りです。

1. 内部が見えるので、内部まできちんとモデリングし、オブジェクトを閉じなければならない。

また、隣のオブジェクトと面が重なると汚くなるので、隙間を開けるか、食い込ませる必要がある。つまり、マテリアル以前にモデリングの段階で難しい。

図025-12a、b

左は内部に不正な面を含むオブジェクト(フレーム15)。右は正しいオブジェクト(フレーム16)。

 

2. 屈折が単独で起こることはなく、必ず反射(カラーや鏡面反射、スペキュラ)が生じる。しかもそれらの割合は、光が入射する角度に応じてフレネルの法則に従って変化する。

  図025-13a、b

左は屈折だけのマテリアル(フレーム3)。右は反射を含むマテリアル(フレーム13)。

 

3. 屈折と鏡面反射が同時に複数回起こるので、絵が複雑になり、どのパラメーターを修正していいのか判らない。

同時に、レンダリングが重くなり、試行錯誤に時間がかかる。

 

4. 簡略化した物理モデルを使っているため、「水が入ったグラス」等を普通に表現できない。

つまり、屈折率は本来物体の内部に指定するものだが、3DCGでは物体の表面に指定している。

その結果、一つの面が三つ以上の物体に接する場合を扱えない。

図025-14a、b

左は普通に作ったオブジェクト(フレーム18)。右は面をずらしたオブジェクト(フレーム19)。

 

5. 透過する距離によって効果が変わる「吸収色」という設定がある。

他のチャンネルでは特殊効果でしか使わないような機能を透過は普通に使う。

図025-15

フレーム20

 

透過する光は、必ずオブジェクトに「入る時」と「出る時」の2回計算されます。さらに、屈折がある場合光は「屈折」と「鏡面反射」の二本に分岐します。つまり、透過のレンダリングは、他のチャンネルよりも格段に重いのです。

特に鏡面反射は、放っておくと無限に計算がくり返され、レンダリングが終わらなくなります。これを防ぐために、CINEMA 4Dでは「レンダリング設定 -> オプション -> 鏡面反射の計算回数」をデフォルトで「5回以下」に制限しています。

しかし、これでも重いので、「オプション -> しきい値」の値を「0.5〜1.0」に上げることをお勧めします。光は屈折や鏡面反射を繰り返すうちに暗くなりますが、光がしきい値より暗くなると、そこで計算を打ち切るようになっています。

図025-16a、b

左はしきい値がデフォルトの0.1、レンダリング時間は88秒。右はしきい値が1.0、レンダリング時間は52秒(フレーム25)。

また、「ぼけた屈折」オプションを使うとすりガラスのような質感を表現できます。ただし、このオプションを使うと光がさらに分岐するため非常に計算が重くなります。

 図025-17a、b

左はぼけた屈折が0のマテリアル、レンダリング時間は35秒(フレーム19)。右はぼけた屈折が20のマテリアル、レンダリング時間は135秒(フレーム26)。

 

現実世界において、全ての物質が透過、屈折の性質を持っているわけではありません。しかし、透明なものは目立ちます。これも透明なものが人間にとって重要だからです。例えば、水や空気は透明です。また、人間の目も透明です。

ですから、透明なマテリアルを作る時には十分に時間をかけてください。

また、透明なマテリアルをリアルに作るには、写真を参考にするのが一番です。

 

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