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R16用GI基礎03: TeamRender

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R16 GI基礎

レベル/ 対象者:基礎/CINEMA 4Dを少し使えて、GIの設定に困っている人
対象ソフトウエア、プラグイン:CINEMA 4D R16
冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章やサンプルファイル 作成日/注記
073 3_TeamRender TeamRender(ネットワークレンダリング)、フレーム単位、TeamRenderサーバー、TeamRenderクライアント、固定IP、8080番ポート、Automater、格納パス、ユーザ(アカウント)、admin、ジョブ(作業)、管理者、b3d、GIアニメーションの設定 2015.2.2
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Step 1

TeamRender

 アニメーションにネットワークレンダリングは欠かせません。GIアニメーションの場合はなおさらです。ネットワークレンダリングは一度使ったらやめられないとても便利な機能ですが、「未だに使ったことがない」という人が多いので、ここで詳しく解説します。1. TeamRenderは、簡単に言うと「レンダリング作業を多数のコンピュータに分散する」機能です(サンプル073c)。 

2. 分散する単位は「フレーム単位(一枚単位)」です。

実は、TeamRenderは静止画のネットワークレンダリングができます。つまり、フレームをさらに小さな「パケット」というタイルに分割して、複数のコンピューターに分散できます。しかし、効率が悪いので、この機能は使わないことをお勧めします(サンプル073a)。

 

3. TeamRenderには、「作業全体を管理するソフト」と「ひたすらレンダリングするソフト」の二種類があります。管理するソフトは「TeamRenderサーバー」と呼ばれ、ネットワーク上に一つしかありません。レンダリングするソフトは「TeamRenderクライアント」と呼ばれ、たくさんあります。

ここで、サーバーが管理できるTeamRenderクライアントの数はグレードごとに違っていて、BroadcastとVisualizeが3台、Studioは無制限になっています。Primeでは、TeamRenderは使えません。

 

4. TeamRenderサーバーとTeamRenderクライアントは、CINEMA 4D本体をインストールした時に、同じフォルダに自動的にインストールされます。

 

5. TeamRenderサーバーは、LAN(ローカルエリアネットワーク)からだけでなく、インターネットからアクセスすることもできます。つまり、会社のTeamRenderが実行しているレンダリングを自宅でチェックしたり、レンダリングした画像をダウンロードしたり、修正したシーンファイルをアップロードすることができます。ここが一番便利な点です。

TeamRenderサーバーにアクセスするには、Safari等のブラウザを使います。もちろんスマートフォンやタブレットも使えます。

ただし、インターネットからTeamRenderサーバーにアクセスするには、ルーターが「固定IP」を持っている必要があります。また、ルーターに対してTeamRenderサーバーをインストールしたコンピュータに、「8080番」ポートを転送するように設定しておく必要があります。

 

6. TeamRenderは、MacとPCの両方で使えます。MacとPCが混在していても大丈夫です。

ただし、次の3点に注意してください。

6a. MacとWindowsではフォントが異なる。

MoTextやテキストスプラインを使うと、ほとんどの場合フォントが変わります。

6b. MacとWindowsでは、ファイル名に使える文字の制限が違う。

例えば、ファイル名に「¥<>*」等の文字を含めた場合、Macでは実行できますが、Windowsでは実行できません。

6c. MacとWindowsではカラープロファイルが異なる場合がある。

特にムービーのコーデックは、バージョンやOSの違いによって色が変わる場合があります。このような場合は、ムービーを連番静止画に分解して使います。

図073-2

 

7. Automater等OSのスクリプト機能を使えば、TeamRenderが終了した時にアニメーションをメールに添付して送信することもできます。

図073-3

 

 

Step 2

ルーターの設定

 次に、ルーターを設定します。TeamRenderは、ルーターを設定しなくても使えるように設計されていますが、現状ではこの機能(Bonjour)を使うとフリーズしやすくなります。ですから、Bonjourは切り、ルーターをマニュアルで設定することをお勧めします。ルーターには色々な機能がありますが、TeamRenderにとって重要なのは次の二つです。

1. LAN内部のコンピューターにローカルのIPアドレスを分配する機能(DHCPサーバー)。

通常、コンピューターとIPアドレスは固定されておらず、コンピューターやルーターを再起動するたびにIPアドレスが変わってしまいます。つまり、このままでは毎回TeamRenderサーバーの設定をやり直す必要があります。

そこで、コンピューターのMACアドレス(ハードウエアアドレス)とIPアドレスの関係をあらかじめルーターに教えておきます。すると、コンピューターを再起動した時に、毎回同じIPアドレスが割り当てられるようになります。

図073-4

 

2. LAN内部のコンピューターとインターネットをつなぐ機能(ポートフォーワーディング)。

まず、インターネットからTeamRenderにアクセスする必要がなければ、この設定は必要ありません。必要がある人だけ読んでください。

TeamRenderをインターネットに接続するメリットは二つあります。

一つは、ネットワークレンダリングを側で監視する必要がなくなることです。編集作業が終われば、本来人間は家に帰って寝てもいいはずですが、なかなかそうはできません。ファイルにミスがあったり、コンピューターが止まることがよくあるからです。

それで、レンダリングが終わるまで側で監視することになるわけですが、もしインターネット経由でTeamRenderに接続できれば、少なくとも家に帰ることはできます。

もう一つは、出先からTeamRenderを使えることです。打ち合わせや共同作業など出先で仕事をすることはよくありますが、出先でレンダリング作業が発生した場合、普通は自宅や会社まで戻るしかありません。

しかし、インターネットからTeamRenderに接続できれば、出先からTeamRenderにシーンファイルをアップロードし、レンダリングを実行させ、結果をインターネット経由でダウンロードし、その場で納品できます。

このように、TeamRenderをインターネットに接続すると非常に便利なので、可能であれば接続することをお勧めします。

通常、ルーターには複数のコンピューターが接続されています。したがって、インターネットからTeamRenderサーバーにアクセスしようとしても、ルーターはどこに接続していいのか判らず困ってしまいます。

そこで、インターネットから「TeamRenderサーバー(8086番ポート)にアクセスされたら、TeamRenderサーバーが動いているコンピューター(アドレス192.168.11.2)に転送する」というルールをあらかじめルーターに教えておきます。すると、インターネットからLANの内部にあるTeamRenderサーバーにアクセスできるようになります。

ただし、この機能を使うには、自分が契約しているプロバイダーから固定IPを取得し、ルーターに設定しておく必要があります。そうしないと、そもそもインターネットからルーターにアクセスできません。

図073-5

 

 

Step 3

TeamRenderサーバーの設定

 TeamRenderサーバーでは、以下の三つの設定を行います。 図073-61. 格納パス

シーンファイルやレンダリングした画像を保存する場所を指定します。大きなデータを書いたり消したりするので、容量が大きく高速なHDDを指定します。また、レンダリング中にバックアップ作業が発生すると遅くなるので、バックアップは取らず、必要であればHDDをRAID化しておくといいでしょう。

また、格納パスは編集作業用のコンピュータから直接見えるようにファイル共有しておきます。理由は、ブラウザ経由でサーバーとファイルのやりとりをすると効率が悪いからです。

 

2. セキュリティトークン(パスワード)の指定

サーバーにクライアントを登録するためのパスワードです。

 

3. TeamRenderクライアントの登録

古いNETでは、設定ファイルを元にクライアントがサーバーを探すようになっていましたが、TeamRenderではサーバーがクライアントを探すようになっています。

クライアントを登録する前に、まずクライアント側の設定を行ってください。

クライアントを登録するには、「マシンを追加」を選択し、クライアントのIPアドレスとポート番号を入力します。すると、セキュリティートークンを聞かれるので、入力してください。

ここで、Bonjourを使うとIPアドレスの入力を省略できますが、TeamRender自体が不安定になります。

以下の設定は、必要に応じて変更します。

 

4. (TeamRenderサーバーの)ポート

一台のコンピューターで複数のサーバーを動かしている場合、ポートがぶつかってしまいます。そのような場合は、ポート番号を変更してください。

このサンプルでは「5402番ポート」に変更してあります。

 

5. ウェブサーバーのポート

一台のコンピューターで複数のサーバーを動かしている場合、ポートがぶつかってしまいます。そのような場合は、ウェブサーバーのポート番号を変更してください。

このサンプルでは「8086番ポート」に変更してあります。

 

Step 4

TeamRenderクライアントの設定

 TeamRenderクライアントには以下の二つの設定を行います。図073-71. コンピューターの名前

ブラウザ上で識別しやすいように、名前をつけます。

古いNETと違って、コンピューターの情報は自動的に表示されます。

 

2. セキュリティトークン(パスワード)

サーバーにクライアントを登録するためのパスワードです。

 

以下の設定は、必要に応じて変更します。

3. (TeamRenderサーバーの)ポート

一台のコンピューターで複数のサーバーを動かしている場合、ポートがぶつかってしまいます。そのような場合は、ポート番号を変更してください。

このサンプルでは「5402番ポート」に変更してあります。

 

 

Step 5

つながらない場合

 昔はこれで簡単につながったのですが、最近のOSはセキュリティーが厳しくなっているので、つながらないことがあります。その場合は、まず管理者権限のあるユーザでコンピュータやルーターにログインし、ファイアウォールの「8086番」と「5402番」ポートを開ける必要があります。 図073-8 

 

Step 6

ユーザを追加する

 TeamRenderサーバーとTeamRenderクライアントの接続設定が終わったら、ウェブブラウザを使って「ユーザ(アカウント)」を作ります。この作業は、PCだけでなくスマートフォンからでも実行できます。 図073-9「ユーザ」とは、TeamRenderを使ってレンダリング作業を行う人のことで、TeamRenderサーバーは複数のユーザを管理できます。

ユーザには「管理者ユーザ」と「(一般)ユーザ」の二種類があります。管理者ユーザは、新しいユーザを作ったり、古いユーザを消したりできますが、普通ユーザはできません。また、管理者ユーザーは全てのジョブを見たり、実行したり、止めたりできますが、一般ユーザーは自分が作ったジョブしか管理できません。

TeamRenderをインストールした直後は、「admin」という名前の管理者ユーザがいて、パスワードも「admin」になっています。まず、adminでログインし、自分が使う管理者ユーザを作ってパスワードを設定して下さい。

次に、TeamRenderはNETと違って「admin」を削除できないので、誰かがいたずらしないようにadminのパスワードを変更しておいて下さい。

一般的に、管理者がたくさんいるとネットワークは壊れます。管理者は一人か、多くても二人だけにして下さい。また、管理者は仕事の全体を理解していて、コンピューターやネットワークに詳しい必要があります。そうでない人を管理者にした場合もネットワークは簡単に壊れます。

また、NETはユーザに優先順位を指定できたのですが、TeamRenderはできません。

 

Step 7

ジョブを作る

 ステップ6までは、管理者ユーザが行う作業でしたが、ステップ7からは全てのユーザが行う作業になります。ジョブ(作業)とは、TeamRenderを使ってレンダリングすることで、TeamRenderサーバーは、複数のユーザが作成する複数のジョブを同時に管理できます。ジョブの追加は、ブラウザのボタンからでもできますが、ファイル共有機能を使ってOS上で直接フォルダやファイルを動かした方が簡単です。理由は、ブラウザからだと複数のファイルやフォルダを一度に動かせないし、ジョブのバックアップやユーザ間の移動ができないからです。

図073-10

ジョブの実体は「フォルダ(ディレクトリ)」で、この中にレンダリングに必要な全てのシーンファイル、テクスチャファイル、GIキャッシュファイル、外部参照ファイルを入れる必要があります。

また、プラグインを使っているシーンファイルでは、全てのTeamRenderクライアントにそのプラグインをインストールしておく必要があります。

また、TeamRenderコンテンツライブラリの中のテクスチャ等を読めません。コンテンツライブラリの中の部品を使う場合は、「ファイル -> 素材と一緒にプロジェクト保存」を使って、コンテンツライブラリから出してください。

ただし、プラグインが使用するテキストファイル等の外部ファイルは、TeamRenderでは扱えません。

 

 

Step 8

ジョブを実行する

 ジョブを作って必要なファイルをアップロードしたら、「開始」ボタンを押します。これでジョブが実行され、全てのTeamRenderクライアントでレンダリングが始まります。各TeamRenderクライアントでレンダリングされた画像は、ジョブフォルダの中の「results」フォルダに集まってきます。ただし、この段階では、全ての画像は「.b3d」というCINEMA 4Dの独自形式になっています。理由は、レンダリング中にネットワークトラブルが発生した時に全てのファイルが壊れるのを防ぐためです。また、連番になっていれば、一部の画像を差し替えたり追加するのも簡単です。

そして、出力フォーマットが連番画像の場合は、resultsフォルダに入った直後にb3d.から指定したフォーマットに変換されます。出力をムービーにしている場合は、全てのフレームのレンダリングが終わった後でムービーに変換されます。

ただし、TeamRenderではムービーに変換すると元のb3d.ファイルが消されてしまうため、画像の差し替えができません。したがって、TeamRenderではムービーフォーマットを使わず、面倒でもAfterEffects等でムービーに変換することをお勧めします。

図073-11

.b3dは優れたフォーマットですが、ファイルサイズが大きいとか、PhotoshopやAfterEffects等で読めないという欠点もあるので、私はまず「.hdr」の連番で出力し、後でムービーに変換するようにしています。.hdrは圧縮された32bitフォーマットで、PhotoshopやAfterEffects等でも問題なく読めます。

特に最近はガンマやカラープロファイルの問題が多いので、直接ムービーを出力するのはお勧めできません。

さらに、現在のTeamRenderにはバグがあって、出力フォーマットをQuickTimeムービーにしているとネットワークレンダリングを一時停止できません。その点からも.hdrの連番画像で書き出すことをお勧めします。

 

 

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