それでは、サンプル043bに戻って、このシーンのGIパラメータを最適化することを考えましょう。まず、043bの「GI_area_light」オブジェクトの周辺を見ると「黒い縁」があることに気がつきます。これは発光するマテリアルが非常に明るいため、そのアンチエイリアスの「マイナス成分」が0を切っているからです。アンチアイリアスにマイナス成分が発生するのは、画像をシャープに見せるためで、R13から追加された機能です。この問題を解決するには、「レンダリング設定 -> アンチエイリアス -> マイナス成分をクリップ」をチェックします。
図043-7
次に、043bにはかなりムラがあります。図043-1右図の天井の隅を見るとそれがよくわかります。そこで、なるべくレンダリング時間を増やさずに、このムラを消す方法を考えます。
まず最初に思いつくのは、「ストカスティックサンプル」の値を大きくすることです。「ストカスティックサンプル」は、「GIのプレパスで計算される白い点々に含まれる明るさ情報の正確さ」を決定するパラメータです。それでは、この値を「中」から「高」に上げて「画像表示にレンダリング」してみましょう。
図043-8
レンダリング時間は「34秒」に伸びましたが、確かにムラが少なくなりました。
それでは、次に「GIエリアライト」というパラメータを追加してみます。
ここまでのGIの設定では、GIはシーンの明るさを「手探り」で計算していました。つまり、どこに明るいオブジェクト(このシーンでは「GI_area_light」)があるのかわからないので、明るさを調べるための光を、全ての方向に「均等に」放射していたのです。この光の本数が「ストカスティックサンプル」の数です。
しかし、「もしGIを計算する前に明るいオブジェクトがどこにあるのかわかっていれば」話は簡単です。明るさを調べるための光を、そのオブジェクトの方向に「重点的に」放射すればいいのです。この「明るいオブジェクトがどこにあるのかをGIに教えるためのパラメータ」が「GIエリアライト」です。
「GIエリアライト」はマテリアルの中で設定します。それでは「light」マテリアルをダブルクリックし、マテリアル編集ウインドウを開いて下さい。そして、「GIと照明モデル」ページで、「GIエリアライト」をチェックします。
これで、「このマテリアルは非常に明るい」ということをGIに教えることができました。そして、このマテリアルが「GI_area_light」オブジェクトに適用されています。
と同時に、「ストカスティックサンプル」の値は「高」から「中」に戻しておきましょう。この状態で「画像表示にレンダリング」して下さい。
図043-9
レンダリング時間は「14秒」と短くなったにもかかわらず、「ストカスティックサンプル」の値を「高」にした場合と同じか、それ以上にムラなくレンダリングできました。
結論として、GIエリアライトを使うことによって、レンダリング時間を半分に短縮できたことになります。これだけでも十分な効果ですが、実は次のステップ5や、照明基礎04で扱うようなコントラストの高いシーンでは、GIエリアライトをうまく使うことで、レンダリング時間を1/10以下に短縮できます。
ですから、コントラストの高いシーンをGIでレンダリングしていて、計算時間が異常に長くなったり、ムラが消えない場合は、まずこの「GIエリアライト」を適切に設定してみて下さい。
|
Comments are closed.