次にGIの「イラディアンスキャッシュ(IRの記録)」を最適化します。イラディアンスキャッシュというのは、GI計算のプレパスで表示される「白い点々」の集まりのことで、これらの点一つ一つの中にその部分の明るさの情報が入っています。つまり、GIを正確にレンダリングするには、以下の二つが重要となるわけです。1. 白い点々の中に含まれる明るさ情報が正確であること。2. 白い点々が十分に細かいこと。
そして、この白い点々の「正確さ」を決めるのが、「サンプル」の値です。
それでは、このサンプルの値を「中」から「低」に下げてください。

図042-5
サンプル数を減らしても、レンダリング時間はが「26秒」とほぼ変っていません。それでは、イラディアンスキャッシュを生成するための「プレパス」だけを比較してみましょう。

図042-6
イラディアンスキャッシュの精度が悪くなったかわりに、計算時間は「6秒」短くなっています。ところが、イラディアンスキャッシュの精度が悪くなると、最終レンダリング時にそれを補間するのが難しくなり、結果的に全体のレンダリング時間は変らなくなってしまうのです。
GIの設定をしていると、こういうことがよくあります。これがGI設定の難しさです。というわけで、サンプルの値は「中」に戻しましょう。
一般的に、サンプルの値は「中」か「高」のどちらかで使います。「低」にしても速くなりませんし、「高」より上げてもきれいになりません。
ほとんどの場合、静止画は「高」で十分ですが、アニメーションでは「高」でも画面のちらつきが気になる場合があります。しかし、そのような難しいシーンで単純にサンプルの値を上げても、レンダリング時間がのびるばかりで、画質はそれほどよくなりません。したがってそのような場合は、後の章で説明する「コンポジットタグ」や「GIエリア」、「GIポータル」といった機能を使って、「部分的に計算精度を上げる」戦略を取るようにして下さい。
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