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カテゴリ: MoGraph基礎

MoGraph基礎: 1. MoGraphとは何か

MoGraphの基本概念を学び、各機能について学んでいきます。

■講座テキスト

  1. MoGraph基礎: 1. MoGraphとは何か
  2. MoGraph基礎: 2. エフェクタ
  3. MoGraph基礎: 3. エフェクタの制限
  4. MoGraph基礎: 4.組み合わせ

Step 1

たくさんのオブジェクトを効率よく動かす

 MoGraphは、簡単に言うと「たくさんのオブジェクトを、効率よく動かす機能」です。ところが、CINEMA 4Dには他にも似たような機能があります。例えば「パーティクル」や「XPresso」、「ThinkingParticles」、「ダイナミクス」などです。それではなぜ、MoGraphという機能が新しく作られたのか、またMoGraphとその他の機能の関係はどうなっているのか、それを理解するには、まずCINEMA 4Dの「歴史」を振り返る必要があります。

1. CINEMA 4D R4以前

多数のオブジェクトを効率よく動かす機能はありませんでした。

2. R5

XLで標準のパーティクル機能が導入され、多数のオブジェクトを効率よく動かせるようになりました。しかし、あまり複雑なことはできませんでした。また、標準パーティクルの機能はR12まで進化せず、現在でもあまり複雑なことはできません。

3. R6〜R7

COFFEEエクスプレッションが導入され、テキストでプログラムを書けばかなり複雑なことができるようになりました。現在でも複雑な表現をする場合はXPressoの中に入っているCOFFEEノードを使います。

しかし、標準のパーティクルにはCOFFEEと連動するための機能がなく、COFFEEだけで多数のオブジェクトを動かすためには、必要な機能を全て自分で作る必要があり、非常に大変でした。

4. R8〜R9

XPressoとThinkingParticles(TP)が導入されました。XPressoはノードベースのプログラム環境で、COFFEEノードを使うとテキストベースのプログラムを混在させることもできます。また、TPはXPressoの中でパーティクルを扱うための拡張モジュール(ライブラリ)です。

XPressoとTPを組み合わせることで、プログラムを書けない人でも、それなりの機能を簡単に作れるようになりました。しかし複雑な機能を作るには、複雑なXPressoを組んだり、COFFEEを使ってプログラムを書く必要がありました。

5. R10〜R12

多数のオブジェクトを効率よく動かすもう一つの方法として「MoGraph」が導入されました。MoGraphには二つの側面があります。一つは、初心者向けに「プログラムを全く書かずに、XPressoやThinkingParticlesの機能を実現する」こと。もう一つは、上級者向けに「XPressoやThinkingParticlesの機能を拡張すること」です。

MoGraphは、一見初心者向けの機能に見えますが、至る所でXPressoやThinkingParticles、ダイナミクス、パーティクルと連動するようにできています。つまり、MoGraphを「新しい拡張モジュール」と考えれば、これまでのXPressoやThinkingParticlesを超える表現が可能になります。

 

このような歴史を鑑みると、現在のCINEMA 4D R12で最も効率のいい方法は、MoGraphで可能な表現はMoGraphだけで実現し、MoGraphを超える表現については他の機能を組み合わせて実現する、ということになるでしょう。

 

 

Step 2

MoGraphの基本

 MoGraphは非常に巨大な機能です。したがって「基本」を理解することが重要です。MoGraphに限らず、巨大なシステムには必ずしっかりした基本があります。MoGraphは巨大ですが、所詮は基本機能の組み合わせに過ぎません。つまり、基本をよく理解すれば自然と全体が見えてくるのです。例えば「言語」がそうです。「文字(音)」が組み合わさって「言葉」となり、言葉が組み合わさって「文章」となります。MoGraphも同じです。MoGraphの基本は以下の通りです。これについて、以下のステップで詳しく説明していきます。1. MoGraphは、「MoGraphオブジェクト」を使ってクローンを作る。

ここで、「クローン」というのは「たくさんのオブジェクト」という意味です。また、「直接クローンを作る方法」の他に、「何かを参照してクローンを作る方法」や「何かをクローンとみなす方法」があります。

 

2. MoGraphは、「エフェクタ」を使ってクローンをコントロールする。

また、MoGraphには、「MoGraph選択範囲」や「減衰」、「ウエイト」等エフェクタの働きを限定するためのいろいろな方法があります。

 

3. MoGraphは、他のCINEMA 4Dオブジェクトや機能と自由に組み合わせられる。

MoGraphは、普通のオブジェクトを参照して、普通のオブジェクトを作ります。したがって、他のオブジェクトや機能と自由に組み合わせられます。特に「ダイナミクス」や「XPresso、TP」、「Sketch And Toon」との組み合わせは重要です。

 

 

Step 3

直接クローンを作る

1. MoGraphの「クローナー」オブジェクトは、自分の子オブジェクトを複製してクローンを作ります。図601-1オブジェクトを直接複製する「モード」として、まず「線形」や「放射」、「グリッド配列」があります。この場合、「複製数」はクローナーの側で自由に指定できます。

2.  クローナーは複数の子オブジェクトを持つことができます。そして、子オブジェクトは指定した「ルール」にしたがって複製されます。まず、ルールを「反復」と「ランダム」にした場合、以下のように働きます。図601-2

 

次に「ブレンド」ですが、このルールには二つの働きがあります。まず、「同じタイプのプリミティブ」や「ポイント数が同じポリゴン」を入れた場合、ブレンドは「モーフ」として働きます。また、形状だけでなく、ライトに含まれる「色」や「明るさ」等のパラメータもモーフできます。

図601-3

 

また、異なった種類のオブジェクトを入れた場合、ブレンドは以下のように働きます。

図601-4

 

最後に「ソート」ですが、このルールはエフェクタの「クローンを修正」機能を使って操作することを前提としています。したがって、エフェクタを指定しない場合、複数のオブジェクトがあっても最初のオブジェクトしか使われません。

 

3. MoGraphにはクローナーによく似た機能として、「マトリックス」オブジェクトがあります。マトリックスは、言ってみればクローナーの機能の一部だけを取り出したもので、オブジェクトを複製せず、ただ座標だけを作ります。

マトリックスは、座標しか持たない故に「座標だけにデフォーマを適用できる」ことと、「ThinkingParticlesを生成できる」という利点があります。マトリックスについては次のステップ4で詳しく説明します。

 

4. MoGraphの「破砕」オブジェクトを使うと、「既に存在する」たくさんのオブジェクトを直接クローンにできます。この場合、破砕は何も複製しません。

図601-5

 

破砕は、エンジンやキャラクター等たくさんのオブジェクトで構成された複雑なものに、エフェクタやダイナミクスを適用したい場合に便利です。

 

 

Step 4

何かを参照してクローンを作る

1. 他のオブジェクトの上にクローンを並べたい場合は、クローナーのモードを「オブジェクト」に切り替えます。この場合、クローナーはリンクされたオブジェクトを参照し、自分の子オブジェクトを複製してクローンを作ります。参照するオブジェクトには、まず「ポリゴンやスプライン」を指定できます。

図601-6

 

また、「パーティクルやThinkingParticles」も指定できます。

図601-7

 

また、MoGraphの「マトリックス」オブジェクトも指定できます。

図601-8

 

ThinkingParticlesやマトリックスを使うと、間接的にクローナーをXPressoで制御できるようになります。現在のところ、直接クローナーやその他のMoGraphオブジェクトをXPressoで制御することはできません。

また、マトリックスを使うと、「オブジェクトの配列だけ」をデフォーマで変形できるようになります。一般的に、クローナーに直接デフォーマを適用すると、クローンまで変形してしまいます。

図601-9

 

2. 次に、MoGraphの「MoInstance」オブジェクトを使うと、リンクしたオブジェクトの「過去」を参照し、それをクローンにできます。この場合、MoInstanceは「過去のオブジェクト」を複製することになります。

図601-10

 

別の見方をすると、MoInstanceはフレームごとにオブジェクトを新規に複製し、しばらく維持した後消去する、「パーティクルに似たオブジェクト」とも言えます。

MoInstanceは、「時間にしたがって複製する」機能なので、アニメーションを再生していないと働きません。

 

 

Step 5

何かをクローンとみなす

 その他、MoGraphにはオブジェクト以外のもの、つまり「ThinkingParticles」や「文章」、「スプライン内部のポイント」、「押し出したポリゴン」、「ポリゴン1枚1枚」等をクローンとみなし、エフェクタを適用するためのオブジェクトがあります。1. MoGraphの「マトリックス」オブジェクトを使うと、ThinkingParticlesをクローンとみなして、エフェクタを適用できます。図601-11 

ThinkingParticlesは、直接クローナに参照させることもできるのですが、その場合TPの生成や消滅をTP側で制御する必要があります。ところが、マトリックスオブジェクトの「オブジェクト -> 生成 」で「ThinkingParticles」を指定すると、TPの生成や消滅までマトリックスオブジェクトの側で指定でき、操作が楽になります。

 

2. 次に、MoGraphの「MoText」オブジェクトを使うと、文章の「全て」や「行単位」、「単語単位」、「文字単位」をクローンとみなして、エフェクタを適用できます。

図601-12

 

Almost any element can be combined within MoGraph,
which offers you endless creative possibilities.
So take time out to experiment as much as
you can with MoGraph - no matter how crazy
you think an animation may be!
Creating spectacular effects and animations
using simple Primitives is as easy as
1-2-3 using MoGraph.

 

3. 次に、MoGraphの「MoSpline」オブジェクトを使うと、「スプラインを構成するポイント」をクローンとみなして、エフェクタを適用できます。

図601-13

 

また、MoSplineの場合はエフェクタに加えてパーティクルモディファイア(場)も使えます。

図601-14

 

4. 次に、MoGraphの「押し出し」オブジェクトを使うと、「ポリゴンを押し出した部分」をクローンとみなして、エフェクタを適用できます。

図601-15

 

押し出しは、デフォーマと同様に、自分の親オブジェクトや兄弟オブジェクトに対して働きます。

 

5. 次に、MoGraphの「PolyFX」オブジェクトを使うと、「ポリゴン1枚1枚」や「スプラインの断片」、「スプラインセグメント」をクローンとみなして、エフェクタを適用できます。

図601-16

 

PolyFXは、デフォーマと同様に、自分の親オブジェクトや兄弟オブジェクトに対して働きます。

 

 

Step 6

それ以外のMoGraphオブジェクト、シェーダ、ノード

1. 最後に、MoGraphの「トレーサ」オブジェクトについて説明します。トレーサは、リンクしたオブジェクトの「軌跡」からスプラインを生成します。しかしトレーサは、MoGraphオブジェクトとしては例外的に、クローンを作りません。したがって、エフェクタを適用することもできません。図601-17

トレーサは、他のMoGraphオブジェクトやパーティクルと組み合わせて使うための補助的なオブジェクトですが、とても面白い効果を出すことができます。

2. この他に、MoGraphには専用の「シェーダ」と「ノード」があります。これらについては、別の講座で詳しく説明します。

次の章

MoGraph基礎: 2. エフェクタ


MoGraphのクローナーに対して影響を与えるエフェクタについて学びます。

前の章 次の章

Step 1

エフェクタの値で制御できるクローンのパラメータ

 MoGraphオブジェクトを使って作成したクローンは、MoGraphエフェクタを使って制御できます。このステップでは、まず「エフェクタの値」を使って制御できる「クローンのパラメータ」について説明します。1. エフェクタの値を使って、クローンの「位置」や「スケール」、「角度」を制御できます。図602-1ここで、位置と角度については、「パラメータ -> 空間を変形(制御する座標系)」で制御する座標系を「ノード(クローン)」、「エフェクタ」、「オブジェクト」から選択できます。

図602-2

 

また、スケールについては、「パラメータ -> 変形モード(スケールモード)」でスケールの方法を「相対」、「絶対(ウエイト)」、「再マップ(絶対)」から選択できます。

図602-3

 

例えば、エフェクタの値が「0〜100%」まで変化する場合、スケールの値を「5」にすると、「相対」ではスケールが「1〜6」の間で変化し、「絶対」では「1〜5」の間で変化し、「再マップ」では「0〜5」の間で変化するようになります。

 

2. エフェクタの値を使って、クローンの内部に含まれる「ポイント」や「ポリゴン」の位置を制御できます。

図602-4

 

この場合は、エフェクタを「デフォーマ」として使います。そして、クローナー等のMoGraphオブジェクトに限らず、CINEMA 4Dのどんなオブジェクトにでも直接適用できます。

 

3. エフェクタの値を使って、「カラー」を制御できます。また、シェーダやテクスチャを使ってカラーを変えることもできます。

図602-5

 

ただし、「MoSpline」、「押し出し」、「PolyFX」などは色を変えられません。理由は、これらのMoGraphオブジェクトが、クローンを独立したオブジェクトとして作らず、ポリゴンやスプラインの断片を「クローンとみなす」機能だからです。

また、「クローナー -> 変形(変換) -> 表示 -> カラー」を選択すると、クローンのカラーを「色付きのドット」として表示できます。

 

4. エフェクタの値を使って、「ウエイト」を制御できます。

ウエイトは、「エフェクタの値を増減するパラメータ」です。したがって、この機能はエフェクタAの働きをエフェクタBで制御する場合に使います。また、ウエイトは減衰の働きを増減する目的でも使えます(注1)。

それから、ウエイトは他の値を「スケール(つまり乗算、除算)」するのではなく、「増減(加算、減算)」するように働きます。

図602-6

 

他のエフェクタと組み合わせる際には、必ずウエイトを制御するエフェクタが先になるように注意して下さい。エフェクタの順番は、「エフェクタ -> エフェクタ」フィールドに表示されます。

また、「クローナー -> 変形(変換) -> 表示 -> ウエイト」を選択すると、クローンのウエイトを「色付きのドット」として表示できます。

注1. ウエイトは少し難しい概念です。ちょっといじってみて判らなければ、飛ばして先に進んで下さい。

 

5. エフェクタの値を使って、「U変形、V変形(U(縦)、V(横))」を制御できます。

MoGraphは、プリミティブと同じように全てのクローンにUVW座標を生成します。そして、エフェクタの効果はこのUV座標にしたがって計算されます。したがって、もしこのUV座標を変換すれば、エフェクタの効果も変ることになります(注1)。

図602-7

 

このUV座標は、もちろんシェーダやテクスチャを貼るためにも使われ、UV座標を変換すれば、シェーダやテクスチャの効果も変ります。

他のエフェクタと組み合わせる際には、必ずUやVを制御するエフェクタが先になるように注意して下さい。エフェクタの順番は、「エフェクタ -> エフェクタ」フィールドに表示されます。

また、「クローナー -> 変形(変換) -> 表示 -> UV」を選択すると、クローンのUVを「色付きのドット」として表示できます。

注1. U変形、V変形は少し難しい概念です。ちょっといじってみて判らなければ、飛ばして先に進んで下さい。

 

6. エフェクタの値を使って、「クローンを修正(クローンの順番)」を制御できます。

図602-8

 

この順番は、クローナーが複数の子オブジェクトを持っている場合に、どのオブジェクトを複製するかを決めるための順番です。クローンのIDとは違うパラメータなので、混同しないように注意して下さい。

 

7. エフェクタの値を使って、「時間オフセット(開始時間)」を制御できます。

図602-9

 

キーフレームアニメーションが指定されたオブジェクトを複製してクローンにした場合に、アニメーションがスタートする時間を制御できます。

 

8. エフェクタの値を使って、「可視性」を制御できます。

図602-10

 

可視性をチェックすると、エフェクタの値が50%以下のクローンが見えなくなります。

 

 

Step 2

値を1で固定

 MoGraphエフェクタの多くは「エフェクタの値」を持っています。まずMoGraphの「簡易」エフェクタの場合、イフェクトの値は「1」で固定されています。したがってユーザにできるのは、それを適用するパラメータや減衰を指定することだけです。例えば「Y位置」の値を「200」にすると、クローンのY位置は全て「200」になります。これは、イフェクトの値が1に固定されていて、「200*1=200」だからです。

図602-11

簡単なことしかできませんが、その分処理が軽いのでよく使います。

 

 

Step 3

値をランダムに変える

 MoGraphの「ランダム」エフェクタを使うと、エフェクタの値をランダムに変更できます。例えば「Y位置」の値を「200」にすると、クローンのY位置はデフォルトで「-200〜200」の間でばらつくようになります。これは、イフェクトの値が「-1〜1」の間でランダムに変化し、「200*-1= -200〜200*1= 200」だからです。図602-12ここで、イフェクト値の範囲は「エフェクタ -> 最大/最小」で指定できます。

 

また、ランダムモードを「ノイズ」や「タービュランス」にすると、ランダムの値をアニメーションできます。また、ノイズやタービュランスには「スケール」というパラメータがあり、変化のスムーズさや細かさを変えられます。

図602-13

 

 

Step 4

値をシェーダやテクスチャで変える

 MoGraphの「シェーダ」エフェクタを使うと、シェーダやビットマップテクスチャを使ってエフェクタの値を変更できます。例えば「Y位置」の値を「200」にすると、デフォルトでシェーダの値が「0」の位置にあるクローンのY位置は「0」、シェーダの値が「1(100%)」の位置にあるクローンのY位置は「200」になります。

図602-14

 

Step 5

値をサウンドで変える

 MoGraphの「サウンド」エフェクタを使うと、サウンドファイルを使ってエフェクタの値を変更できます。

図602-15

 

サウンドは、周波数ごとにエフェクタの値を変えることができます。この時、低音側が小さなIDのクローンに対応し、高音側が大きなIDのクローンに対応します。また、エフェクタの値は音の強度によって決まります(サウンドファイル)。

 

 

Step 6

値をIDで変える

 MoGraphの「ステップ」エフェクタを使うと、クローンのID(番号)を使ってエフェクタの値を変更できます。

図602-16

 

クローンのIDは、「ウエイト」や「UV座標」とはまた違ったパラメータなので、混同しないように注意して下さい。

ステップの場合、エフェクタの値は「ID/クローンの総数」になります。

 

 

Step 7

値を時間で変える

 MoGraphの「タイム」エフェクタを使うと、時間(CINEMA 4Dのタイムライン)を使ってエフェクタの値を変更できます。タイムを使うと、キーフレームを打たずに、クローンに連続的な動きを指定できます。図602-17タイムの場合、「1秒」がエフェクタ値の「1(100%)」に対応します。

当然ですが、タイムは「時間にしたがって変える」機能なので、アニメーションを再生していないと働きません。

 

 

Step 8

値が戻るのを遅らせる

 MoGraphの「ディレイ」エフェクタは、他のエフェクタによって変更されたクローンの「位置」や「スケール」、「角度」の値が元に戻るのを遅らせる働きをします。つまり、ディレイ自身は何もしないので、必ず他のエフェクタと組み合わせる必要があります。

図602-18

 

ディレイを他のエフェクタと組み合わせる際には、必ずディレイが後になるように注意して下さい。エフェクタの順番は、「エフェクタ -> エフェクタ」フィールドに表示されます。

また、ディレイは他のエフェクタの働きを「時間にしたがって変える」機能なので、アニメーションを再生していないと働きません。タイムマーカーが止まっている場合、結果的に他のエフェクタの働きも止まってしまうので、注意して下さい。

また、このエフェクタは固有の「値」を持たないので、それ以外のパラメータを変更することはできません。

 

 

Step 9

ターゲットオブジェクトから情報を継承する

 MoGraphの「継承」エフェクタは、リンクされたオブジェクトの「位置」、「スケール」、「角度」の値を直接クローンに入力します。また、ターゲットオブジェクトがキーフレームアニメーションを持っている場合、継承の「遅れ」を指定することもできます。図602-19ただし、このエフェクタは固有の「値」を持たないので、それ以外のパラメータを変更することはできません。

 

 

Step 10

スプラインに沿って並べる

 MoGraphの「スプライン」エフェクタを使うと、スプラインに沿ってクローンを並べることができます。

図602-20

 

ただし、このエフェクタは固有の「値」を持たないので、それ以外のパラメータを変更することはできません。

 

 

Step 11

ターゲットオブジェクトの方向を向ける

 MoGraphの「ターゲット」エフェクタは、リンクされたオブジェクトの方向にクローンを向けます。

図602-21

 

また、ターゲットオブジェクトが近づいた場合に、それを避けるようにクローンを移動させることもできます。この機能をカメラに適用すると、カメラがクローンにぶつからなくなります。

ただし、このエフェクタは固有の「値」を持たないので、それ以外のパラメータを変更することはできません。

 

 

Step 12

その他のエフェクタ

1. MoGraphの「グループ」エフェクタを使うと、複数のエフェクタをグループ化し、一つのエフェクタとして扱うことができます。2. MoGraphの「COFFEE」エフェクタを使うと、COFFEEスクリプトを使ってエフェクタの値を変更できます。

 

3. MoGraphの「数式」エフェクタを使うと、エフェクタの値を数式で変更できます。

 

4. MoGraphの「ボリューム」エフェクタを使うと、ポリゴンオブジェクトの内部にあるクローンに対してエフェクタの値を「1」にします。

 

前の章 次の章

MoGraph基礎: 3. エフェクタの制限


エフェクタの働きを制限するための機能であるMoGraph選択範囲と減衰について学びます。

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Step 1

MoGraph選択範囲

 MoGraphには、エフェクタの働きを制限するための方法がいくつか用意されています。一番直感的なのが「MoGraph選択範囲」で、クローンを直接クリックして選択範囲を作成できます。図603-1

MoGraph選択範囲の使い方は、基本的にCINEMA 4Dのポリゴン選択範囲やポイント選択範囲と同じです。つまり、選択範囲を作るとクローナーの右側に「MoGraph選択範囲タグ」ができます。このタグをエフェクタの「選択範囲」フィールドにドラッグアンドドロップして下さい。

MoGraph選択範囲はいくつでも作成できます。また、MoGraph選択範囲の値は、「選択されている、いない」のどちらかで、中間値は持てません。

 

次に、MoGraph選択範囲は、クローナーやエフェクタからは変更できません。また、キーフレームアニメーションもできません(注1)。ただし、XPressoの「MoGraph選択範囲」ノードを使うと、値を取り出したり書き換えることができます。これはMoGraph選択範囲の利点です。

注1. 複数のMoGraph選択範囲を作成し、それらを切り替えるアニメーションは作れます。

図603-2

 

次に、MoGraph選択範囲を使うとダイナミクスの働きも制限できます。これがMoGraph選択範囲の最大の利点です。

図603-3

 

 

Step 2

減衰

 エフェクタの側に「減衰」を指定すると、エフェクタの働きを「ある範囲、領域」に限定できます。減衰はエフェクタの側で指定するもので、基本的にはCINEMA 4Dのデフォーマやパーティクルモディファイアが持っている影響範囲の機能と同じです。

図602-4

MoGraph選択範囲と違って、減衰は中間値を持てます。また、減衰は、キーフレームアニメーションをつけたり、XPressoで制御することができます。ただし、エフェクタからは制御できません。

また、当然のことですが、減衰はエフェクタの側に指定するものなので、クローン一個一個を区別して働きを変えることはできません。

 

次に、減衰で指定できるほとんどの形状は閉じていて、つまり「内側」と「外側」があります。そして、内側と外側のどちらの働きを制限するか指定できます。

図602-5

 

ただし、「線形」形状だけは開いていて、世界を「前」と「後」の半分に分け、どちらかの働きを制限できます。

図602-6

 

次に、エフェクタと同様に、減衰もウエイト機能を使って制限できます。

図602-7

 

ただし、ウエイトの値は乗算ではなく加算されるので、実質的には「減衰の強度」を変えるというよりも、「減衰の範囲」を変えるように働きます。

 

 

Step 3

ウエイト

 ウエイトは各クローンが持っている値で、「エフェクタの影響を受ける程度」を決定します。まず、クローンが作られた段階では、全てのクローンが「1(100%)」のウエイトを持っています。そして、エフェクタの影響を完全に受けます。したがって、クローンがエフェクタの影響を受けないようにするには、「-1」のウエイトを追加(加算)してウエイトの値を「0」にする必要があります。

図603-8

 

減衰と同様に、ウエイトも中間値を持てます。また、ウエイトはエフェクタを使って自由に制御できます。これがウエイトの最大の利点です。ただし、XPressoで制御したり(注1)、キーフレームアニメーションをつけることはできません。

注1. XPressoを使うと、ウエイトの値を取り出すことができます。しかし、値を書き換えることはできません

 

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MoGraph基礎: 4.組み合わせ


MoGraph同士やモーグラフと他のオブジェクトや機能との組み合わせを学びさらに表現の幅を広げます。

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Step 1

MoGraphの階層化

 MoGraphは「普通のオブジェクト」です。つまり、MoGraphは普通のオブジェクトを参照し、普通のオブジェクトを子オブジェクトにし、普通のオブジェクトを生成します。当たり前のことと思うかもしれませんが、実はこれが一番重要な機能です。なぜなら、インターフェイスが「普通のオブジェクト」で統一されているおかげで、MoGraphを自分自身や、またCINEMA 4Dの他のオブジェクトと自由に組み合わせられるからです。これによって、MoGraphの表現の幅は「爆発的に」広がります。1. MoGraphは、自由に階層化できます。つまり、MoGraphは他のMoGraphオブジェクトが生成したオブジェクトを複製できます。図604-1 

2. MoGraphは、他のMoGraphオブジェクトが生成したオブジェクトを参照できます。

図604-2

ただし、参照するオブジェクトは「一個」でなければならないので、「一体化」オブジェクトを使って多数のクローンを一個にまとめて下さい。

 

 

Step 2

デフォーマと組み合わせる

1. MoGraphが生成するポリゴンやスプラインは、デフォーマで変形できます。図604-3

この場合、デフォーマを適用する相手は、「元オブジェクト(立方体)」の他に「参照するスプライン(円形)」や「MoGraphが生成したポリゴン」の3通りがあるわけです。

 

デフォーマもMoGraphもオブジェクトの階層構造を利用して機能します。例えば、デフォーマをMoGraphオブジェクトの「子オブジェクト」にした場合、もちろんデフォーマは正しく働きますが、同時にMoGraphによって複製されてしまいます。そして、これは正しくありません。

このような問題を解決するために、デフォーマは「兄弟オブジェクト」にも働くように設計されています。つまり、ヌルオブジェクトを作ってその中にMoGraphオブジェクトとデフォーマを並べれば、デフォーマは正しく働き、複製されることもなくなります。

図604-4

 

また、実はMoGraphオブジェクトには、リンクを指定しなくても親オブジェクトを参照する機能があります。しかし、参照するオブジェクトを階層構造で指定すると、アニメーションをつけたり、デフォーマやモデリングオブジェクト、NURBSなどを適用する際に機能がぶつかる可能性があります。なぜなら、これらの機能も階層構造を利用して機能するからです。

したがって、参照するオブジェクトを指定する場合は、なるべく階層構造を使わず、直接リンクで指定するようにして下さい。

図604-5

 

 

Step 3

NURBSと組み合わせる

1. MoGraphが生成するスプラインは、「押し出しNURBS」や「回転NURBS」、「ロフトNURBS」、「スイープNURBS」と組み合わせてポリゴンオブジェクトを作ることができます。図604-62.

MoGraphが生成するポリゴンは、「HyperNURBS」に入れて丸めることができます。図604-7

 

 

Step 4

モデリングオブジェクトと組み合わせる

1. MoGraphが生成するポリゴンやスプラインは、ブール演算できます。図604-8ただし、ブール演算するとクローン全体が一個の新しいポリゴンに変換されます。そして、この時クローンが持っていた「カラー」などの属性は失われてしまいます。

 

2. MoGraphが生成するオブジェクトは、メタボール化できます。

図604-9

 

ただし、メタボール化するとクローン全体が一個の新しいポリゴンに変換されます。そして、この時クローンが持っていた「カラー」などの属性は失われてしまいます。

 

3. MoGraphが生成するポリゴンは、アトム化できます。アトムは、MoGraphのご先祖様のような機能です。

図604-10

 

ただし、アトム化するとクローン全体が一個の新しいポリゴンに変換されます。そして、この時クローンが持っていた「カラー」などの属性は失われてしまいます。

 

4. MoGraphが生成するオブジェクトは、インスタンス化できます。インスタンスも、MoGraphのご先祖様のような機能です。

図604-11

 

 

Step 5

パーティクルと組み合わせる

1. MoGraphが生成するオブジェクトは、パーティクルで飛ばせます。パーティクルも、MoGraphのご先祖様のような機能で、簡単に使えます。

図604-122.

MoGraphが生成するオブジェクトは、ThinkingParticlesで飛ばせます。ThinkingParticlesは、MoGraphのご先祖様のような機能で、難しいですが、MoGraphの機能を「劇的」に拡張できます。図604-13

 

また、MoGraphが生成したクローンを参照し、そこ(クローンの軸)からTPを飛ばすこともできます。

図604-14

 

ただし、ThinkingParticlesが参照できるのは「編集可能なポリゴン」だけなので、クローンを構成するポイントからTPを飛ばすことはできません。

 

 

Step 6

その他の機能と組み合わせる

1. MoGraphが生成するオブジェクト(クローン)は、XPressoの「新規 -> モーショングラフィックス -> モーションオブジェクト -> データ」ノードを使って値を読むことができます。XPressoも、MoGraphのご先祖様のような機能で、難しいですが、これもMoGraphの機能を「劇的」に拡張できます。データノードの使い方については、前のステップの図604-14を参照して下さい。ただし、XPressoを使って直接クローンを制御することはできません。XPressoでクローンを制御するには、「ThinkingParticles」か「マトリックスオブジェクト」、「ダイナミクス」を間にはさむ必要があります。

また、「MoGraphオブジェクトそのもの」や、「MoGraphエフェクタ」、「MoGraph選択範囲」などは、XPressoで自由に制御(読み書き)できます。その場合は「MoGraph選択範囲」や「サンプル」、「減衰」ノードを使います。

 

2. MoGraphが生成するオブジェクトは、ダイナミクスを使って物理シミュレーションすることができます。

図604-15

 

ダイナミクスの働きは、MoGraph選択範囲を使って制限できます。また、XPressoで「新規ノード -> ダイナミクス -> 一般 -> ダイナミクスボディ状態」ノードを使うと、ダイナミクスの働きを自由に制御(読み書き)できます。

 

3. MoGraphが生成するオブジェクトは、Sketch And Toonを使って線画にできます。Sketch And Toonも、実はMoGraphのご先祖様のような機能で、難しいですが、MoGraphと組み合わせることによって、これまでにない表現が可能になるはずです。

図604-16

 

以上、三つの機能については、別の講座で詳しく説明します。

 

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