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カテゴリ: 中級

アニメーション基礎01: 4種類のアニメーション

アニメーション基礎

レベル/ 対象者:中級/ MoGraphをある程度使える人
対象ソフトウエア、プラグイン:CINEMA 4D R14 Broadcast以上
冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章やサンプルファイル 作成日/注記
201 1_4種類のアニメーション 2015.3.26

 

Step 1

はじめに

  CINEMA 4Dには多くのアニメーション機能があります。もちろん伝統的なキーフレームを使ったアニメーションも作れますが、以下のような理由からキーフレームだけでアニメーションを作ることは現在ほとんどありません。 

1. 複雑な動きを表現できない。

複数のオブジェクトが衝突したり連動するアニメーションで、一個一個のオブジェクトにキーを打つのは不可能です。

2. 多数のオブジェクトを動かせない。

オブジェクトが100個を超える場合、キーで動かすのは困難です。

3. 修正が難しい。

キーフレームアニメーションでは必然的にキーが多くなり、修正が難しくなります。

そこで、この講座ではキーフレームアニメーションとCINEMA 4Dのアニメーションを比較し、その違いについて詳しく説明します。

 

 

Step 2

4種類のアニメーション

  まず4種類の方法を使ってオブジェクトを動かし、その利点と欠点について考えてみましょう。1. オブジェクトの「位置」に直接キーを打って動かすアニメーション。

キーフレームアニメーションは簡単で、他のソフトとデータのやり取りができる、という利点があります。

しかし、複雑な動きをつけるにはキーを増やすしかなく、どんどん重くなり、編集も困難になります。

図201-2a

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2. オブジェクトをスプライン(パス)に乗せ、「スプライン上の位置」にキーを打って動かすアニメーション。

CINEMA 4Dで一番よく使われるのが、スプラインを使ったアニメーションです。

スプラインを使えば、複雑な動きでも二つのキーでコントロールできます。また、スプラインに沿ってオブジェクトを作ったり、デフォーマで変形させたり、スプラインそのものをデフォーマで変形させたりと、他の多くの機能を組み合わせることができます。

作業的には一手間増えますが、難しいというほどではありません。

図201-2b

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3. MoGraphオブジェクトにイフェクターを適用し、「イフェクターの値」にキーを打って動かすアニメーション。

多数のオブジェクトをいろいろなルールにしたがって動かす機能がMoGraphです。MoGraphを使えば、オブジェクトの数に関係なく数個のキーで複雑なアニメーションを作れます。

MoGraphは非常によくできていて、初心者が簡単に使うことも、上級者が難しく使うこともできます。また、Alembicを使えば、他のソフトにデータを移すこともできます。

図201-2c

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4. オブジェクトにユーザーデータとXPressoを適用し、「ユーザーデータ」にキーを打って動かすアニメーション。もしくは、キーフレームの代わりに「条件」を使って動かすアニメーション。

エクスプレッションは最も強力なアニメーション機能です。確かにエクスプレッションを作るのは難しく、面倒ですが、それ以上に作業を効率化し、不可能を可能にしてくれます。

図201-2d

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Step 3

キーとタイムラインの扱い

  キーフレームアニメーションは単純で、CINEMA 4Dでも他のソフトと同じように作れます。ただし、インターフェイスはソフトごとに違っているので、ここでは、CINEMA 4Dでキーフレームアニメーションを作る際の流れを説明します。まず、キーはオブジェクトの属性マネージャーでパラメーター名の右にあるボタンをクリックして打ちます。キーを削除したい場合は、もう一度クリックします。トラックごと削除したい場合は、control+shift+クリックします。

オブジェクトの属性マネージャは、基本的に「現在の値」を表示、記録する場所なので、キーは必ず現在タイムマーカーがある時点に作成されます。もし、既にその時点にキーがある場合は上書きされます。

キーを打つと、自動的にキーの間が補間されます。デフォルトの補間方法はプロジェクト設定で指定できます。もちろん後で個別に補間方法を変更することもできます。

エディターの下にはタイムマネージャという横長のウインドウがあります。これは一行だけの簡易版タイムラインで、ここでもキーを選択したり、動かしたり、削除できます。

タイムマネージャでキーを選択すると、アニメーションの属性マネージャにそのキーの時点と値が表示されます。また、キーの補間方法やイーズイン、イーズアウトも編集できます。

次にタイムラインに移ります。タイムラインで直接キーを打つこともできますが、ある程度属性マネージャーでアニメーションを作成し、その後タイムラインでタイミングやイーズイン、イーズアウトを微調整する、という使い方が楽だと思います。

タイムラインには、二つの表示モードがあります。基本的にどちらのモードでも全てのパラメーターを編集できますが、キーモードはキーのタイミングを編集したい場合に、Fカーブモードはキーの間の変化を編集したい場合に使います。

タイムラインでキーを選択すると、アニメーションの属性マネージャにキーの時点と値が表示されます。これはタイムマネージャで選択した場合と同じです。また、トラックを選択すると、トラックのパラメータが表示され、アニメーションの繰り返しや、タイムコントロールを編集できます。

この他、タイムラインには表示や選択に関するいくつかの機能があります。例えば、タイムラインのデフォルトは自動モードですが、オブジェクトをドラッグアンドドロップすると手動モードに切り替わります。

また、オブジェクトマネージャとタイムラインの表示や選択は、デフォルトではリンクしていませんが、オプションでリンクできます。

CINEMA 4Dでは、AfterEffects等と違って位置や回転のXYZの値が独立しています。これは、独立していた方がエクスプレッション等で扱いやすいからです。XYZの値を一体で扱いたい場合は、次のステップで説明するスプラインを使うようにしてください。

図201-3

 

アニメーション基礎02: スプライン

アニメーション基礎

レベル/ 対象者:中級/ MoGraphをある程度使える人
対象ソフトウエア、プラグイン:CINEMA 4D R14 Broadcast以上
冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章やサンプルファイル 作成日/注記
202 2_スプライン 2015.3.26

Step 1

スイープとレール

 スプラインは太さがないので、そのままでは目に見えません。しかし、スイープを使えば立体化できます。

スイープを使うと、単にオブジェクトを作るだけではなく、ねじったり成長させることもできます。

また、スイープオブジェクトに沿ってマテリアルの色を変えたり、テクスチャを流すこともできます。

図202-1a

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さらに、スプラインに沿ってオブジェクトを動かすこともできます。スプラインに沿ってオブジェクトを動かすには「スプラインに沿う」タグを使います。オブジェクトの向きをコントロールするには、二本のスプラインを使います。この時、メインのスプラインを「パス」、ガイドのスプラインを「レール」と呼びます。

スプラインに沿ってオブジェクトを動かす場合、スプライン上の位置を0から100%の間の値で指定します。また、スプラインのポイント密度や曲率に関係なくオブジェクの速度を一定に保ちたい場合は、スプラインの補間法を「均等」にします。

図202-1b

 

 

Step 2

スプラインに沿って並べる

 スプラインに沿って多数のオブジェクトを動かしたい場合、ステップ2で説明した「スプラインに沿う」を使う方法では大変です。このような場合もMoGraphのクローナーを使います。

図202-2

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Step 3

スプラインに沿って変形させる

 スプラインラップデフォーマを使うと、スプラインに沿ってオブジェクトを変形できます。

「スプラインラップ」の使い方は「スプラインに沿う」に似ていて、レールスプラインでオブジェクトの向きをコントロールできます。また、長さの扱いや、スプラインの端での扱いを指定できます。

図202-3

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Step 4

スプラインを変形させる

  デフォーマを使うと、スプラインを変形できます。そして、そのスプラインが他のアニメーションのガイドになっている場合、他のアニメーションも変形します。

図202-4

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アニメーション基礎03: MoGraph

アニメーション基礎

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冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章やサンプルファイル 作成日/注記
203 3_MoGraph 2015.3.26

Step 1

MoGraphカラーシェーダー

  MoGraphのアニメーションについては、「MoGraph基礎」の講習会である程度説明しています。そこで、この章では、MoGraph基礎で説明しきれなかった機能について重点的に説明します。

MoGraphにはクローンのカラーをコントロールする機能があります。ただし、この「カラー」はカラーチャンネルのカラーであって、発光チャンネルや透過チャンネルのカラーではありません。
ところが、MoGraphカラーシェーダーを使うと、クローンのカラーを使って発光チャンネルや透過チャンネルのカラーを変えられるようになります。

ここでは、一番簡単な例として発光と透過チャンネルのカラーを変えますが、クローンのカラーを使って変異やアルファチャンネルなど特殊なチャンネルをコントロールすれば、非常に面白い表現ができるはずです。

図203-1a

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図203-1b

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Step 2

MoGraphマルチシェーダー

 MoGraphマルチシェーダーは、クローンに多数のテクスチャを貼るためのシェーダーです。

クローンにテクスチャを割り当てるためのルールとしては、「ランダム」と「順番」、「カラー」があります。

ランダムに貼る場合は、ランダムイフェクターを使ってクローンのカラーをランダムに変えます。
順番に貼る場合は、直接貼るか、ステップイフェクターを使ってクローンのカラーを順番に変えます。
カラーで貼る場合は、シェーダーイフェクターで写真等を使ってクローンのカラーを変えます。

順番は規則的なテクスチャを貼る場合、カラーはモザイクやコラージュのような絵画的な表現をする場合によく使われます。ただし、これはあくまでも例であって、工夫次第でもっといろんなことができるはずです。

ここでは、順番の例としてトランプを作ってみましょう。
まずマテリアルを作成し、マルチシェーダーにトランプのテクスチャ52枚を読み込みます。
次に、トランプオブジェクトを作成し、クローナーを使って13行4列に並べます。

さらに、トランプをまとめた状態を作成し、継承イフェクターでトランプを配るアニメーションを作ってみましょう。MoGraphを活用すると、このアニメーションをたった2個のキーフレームで表現できます。

図203-2a

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次に、ランダムイフェクターや簡易イフェクターを使ってテクスチャを差し替えるサンプルを作ります。
ここでは、数字のテクスチャを使いました。

図203-2b

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図203-2c

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Step 3

複数のMoGraphオブジェクトやイフェクタを重ねる

 MoGraphオブジェクト(クローナー等)はいくらでも重ねられます。また、MoGraphイフェクターもいくらでも重ねられます。簡単なシーンでも2〜3個、複雑なシーンの場合は10個程度重ねることもあります。

MoGraphオブジェクトを重ねるには、単に階層化します。この考え方は、スイープやデフォーマ等従来のCINEMA 4Dオブジェクトと同じです。

MoGraphイフェクタを重ねるには、MoGraphオブジェクトを選択した状態でイフェクタを生成します。この時、イフェクタをかける順番によって効果が変わるので注意してください。
また、MoGraphイフェクターの名前には、必ず「順番」、「適用オブジェクト」、「働き」等を追加してください。そのままだとすぐに判らなくなります。
また、イフェクタそのものはMoGraphオブジェクトで複製できないので、必ず階層の外に出すようにしてください。

図203-3

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Step 4

ディレイイフェクタで余韻をつける

 MoGraphイフェクターの中には、「他のイフェクターの働きにイフェクトをかける」という特殊な働きを持ったものもあります。それがディレイイフェクターです。
ディレイイフェクターは、他のイフェクターの効果に「遅れ」や「余韻」、「オーバーシュート」を追加します。ディレイイフェクターは一種の隠し味なので、あらゆるシーンで使えます。

ディレイイフェクターを使う時は特に順番に注意してください。ディレイイフェクターは、他のイフェクターにイフェクトをかける機能なので、他のイフェクターの後に置かないと働きません。

図203-4

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アニメーション基礎04: XPresso

アニメーション基礎

レベル/ 対象者:中級/ MoGraphをある程度使える人
対象ソフトウエア、プラグイン:CINEMA 4D R14 Broadcast以上
冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章やサンプルファイル 作成日/注記
204 4_XPresso 2015.3.26

 

Step 1

オブジェクトを連動させる

 第1章では、比較のためにキーフレームでも作れるアニメーションをXPressoに置き換えました。しかし、XPressoが真価を発揮するのは、キーフレームでは難しい動きや、不可能な動きを作る場合です。この章では、そのような例についていくつか説明します。

まず、XPressoがよく使われるのはオブジェクトを連動させる場合です。例えば自動車が走る時、それに連動してタイヤが回転します。この二つの動きを別々にキーフレームで作ることは、不可能ではありませんが非常に面倒です。

このような場合、XPressoを使ってタイヤの回転を自動車の動きに連動しておくと、アニメーションの編集が非常に楽になります。

図204-1a

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さらに、キャタピラも作ってみましょう。大したことはありません。

キャタピラはMoGraphオブジェクトで作成し、タイヤの回転の代わりにオフセットの値を変えます。

図204-1b

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最後に、現在のXPressoの作りでは、自動車の進行方向に関係なくタイヤやキャタピラが一方向に動いてしまいます。これは、自動車の向きと進行方向を「内積」という機能を使って比較することで解決できます。

図204-1c

 

 

Step 2

衝突した場所からThinkingParticlesを出す

 MoGraphマルチシェーダーは、クローンに多数のテクスチャを貼るためのシェーダーです。クローンにテクスチャを割り当てるためのルールとしては、「ランダム」と「順番」、「カラー」があります。

ランダムに貼る場合は、ランダムイフェクターを使ってクローンのカラーをランダムに変えます。

順番に貼る場合は、直接貼るか、ステップイフェクターを使ってクローンのカラーを順番に変えます。

カラーで貼る場合は、シェーダーイフェクターで写真等を使ってクローンのカラーを変えます。

順番は規則的なテクスチャを貼る場合、カラーはモザイクやコラージュのような絵画的な表現をする場合によく使われます。ただし、これはあくまでも例であって、工夫次第でもっといろんなことができるはずです。

ここでは、順番の例としてトランプを作ってみましょう。

まずマテリアルを作成し、マルチシェーダーにトランプのテクスチャ52枚を読み込みます。

次に、トランプオブジェクトを作成し、クローナーを使って13行4列に並べます。

さらに、トランプをまとめた状態を作成し、継承イフェクターでトランプを配るアニメーションを作ってみましょう。MoGraphを活用すると、このアニメーションをたった2個のキーフレームで表現できます。

図204-2a

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次に、ランダムイフェクターや簡易イフェクターを使ってテクスチャを差し替えるサンプルを作ります。

ここでは、数字のテクスチャを使いました。

図204-2b

 

図204-2c

 

 

MoGraphとダイナミクス: 1.ダイナミクスとは何か

ダイナミクスを使った、MoGraphを動かすためのもう一つの方法について学んでいきます。

■講座テキスト

  1. MoGraphとダイナミクス: 1.ダイナミクスとは何か
  2. MoGraphとダイナミクス: 2.リジッドボディとソフトボディ
  3. MoGraphとダイナミクス: 3.スプラインとその他の機能
  4. MoGraphとダイナミクス: 4.ダイナミクスのアニメーション

Step 1

物理法則を使ってオブジェクトを動かす

 ダイナミクスは、簡単に言うと「オブジェクトを、物理法則に従って動かしたり変形させる(物理シミュレーション)機能」です。物理法則を使うことによって、キーを打たなくてもオブジェクトの複雑な動きや変形を表現できます。例えば、非常に多くのオブジェクトを含むシーンや、衣服のようにオブジェクトを複雑かつ自然に変形させるシーンは、もはやキーフレームアニメーションでは表現できません。しかし、ダイナミクスを使えば簡単に表現できます。

多数のオブジェクトを動かすための方法として、CINEMA 4Dには他にもパーティクルやMoGraphという機能があります。そして、パーティクルの場合は「場(モディファイア、フォース)」、MoGraphの場合は「エフェクタ」という機能を使ってオブジェクトの動きをコントロールします。

ダイナミクスはパーティクルやMoGraphとも組み合わせられるので、ある意味では「モディファイア」や「エフェクタ」の機能を拡張するものだと考えてもいいでしょう。

しかし、衣服のようなオブジェクトをリアルに変形させるには、ダイナミクスを使うしかありません。昔は、モーフやPLA、ボーンといった技術を組み合わせて表現することもありましたが、とても大変で、なかなかいい結果が得られませんでした。

 

ここで問題なのは、現在のCINEMA 4Dに搭載されているダイナミクスが一つではない、ということです。「歴史的な理由」により、いろいろな機能の中にいろいろな形のダイナミクスが入っています。そしてこれらは異なった時代に異なったプログラマーによって作られたため、インターフェイスや使い方、働き等が異なっていて、かなり混乱しています。また、CINEMA 4Dのグレードによっては使えないダイナミクスもあります。

とはいっても、この混乱はもうどうしようもない話なので、整理しながら、なるべく具体的に説明していきたいと思います。

 

Step 2

ダイナミクスの種類

 それでは、まず現在のCINEMA 4Dに入っているダイナミクスの種類について説明します。このステップは重要なのですが、いきなり読んでもわからないと思います。適当に飛ばし読みして、後で何か困った時に読み返すようにして下さい。

1. ダイナミクス

ダイナミクスは現在のCINEMA 4Dの代表的なダイナミクス機能です。ただし、「ダイナミクス」は「Studio」グレードでしか使えません。

ダイナミクスが扱えるオブジェクトは、「ポリゴン」、「スプライン」、「クローン」、「パーティクル」です。また、扱える機能は、「場」、「衝突」、「変形」、「圧力」、「体積」、「破断」です。さらに、他のオブジェクトやタグを組み合わせることにより、「オブジェクト間のリンク」、「外力」、「XPresso」なども扱えます。

 

2. MoDynamics

MoDynamicsは、Studioに入っているダイナミクスの機能限定版で、「Broadcast」グレードで使えます。

MoDynamicsが扱えるオブジェクトは、「クローン」と「パーティクル」だけです。また、「オブジェクト間のリンク」や「外力」は扱えません。「XPresso」は制限なく扱えます。

 

3. デフォーマ

実は、デフォーマの中にも「ジグル」と「衝突」というダイナミクス機能が入っています。

デフォーマが扱えるオブジェクトは、「ポリゴン」だけです。しかし、全てのグレードで簡単に使えます。ですから、ダイナミクスが必要になったらまずこの機能を試してみて下さい。

ジグルは「場」と「変形」を、衝突は「衝突」と「変形」を扱うことができます。さらに、「XPresso」も扱えます。

 

4. MoGraphエフェクタ

実は、MoGraphエフェクタの中にも「ディレイ」というダイナミクス機能が入っています。

ディレイは、「クローン」に対する「位置」、「スケール」、「角度」の簡単なダイナミクスしか計算できませんが、その分簡単に使えます。憶えておいて損はありません。

 

5. MoGraphオブジェクト

実は、MoGraphオブジェクトの中にも「MoSpline」というダイナミクス機能が入っています。

MoSplineは、「スプライン」に対する「場」の働きしか計算できませんが、その分簡単に使えます。

 

6. スプラインダイナミクスタグ

スプラインダイナミクスタグは、「ヘア」に含まれるスプライン専用のダイナミクス機能です。ただし、「ヘア」は「Studio」グレードでしか使えません。

「ダイナミクス」の機能と比較すると、計算の精度や拘束等の細かい機能に関してはこちらの方が優れています。しかし、スプライン同士の衝突を計算できないとか、閉じたスプラインを計算できないという欠点があります。したがって、スプラインに関しては、ケースバイケースで二つのダイナミクス機能を使い分けるようにして下さい。また、MoGraphとダイナミクス3で説明するような「クローンを使ってスプラインのダイナミクスを表現する方法」もあります。

スプラインダイナミクスが扱える機能は、「場」、「衝突」、「変形」です。さらに、他のオブジェクトやタグを組み合わせることにより、「オブジェクト間のリンク」や「XPresso」も扱えます。

また、ヘアそのものにもダイナミクス機能が内蔵されていますが、これはヘア以外のオブジェクトを扱えないローカルな機能です。

 

7. クロスタグ

クロスタグは、「クロス」に含まれるポリゴン専用のダイナミクス機能です。ただし、クロスは「Studio」グレードでしか使えません。

「ダイナミクス」の機能と比較すると、厚みのないポリゴンで布や服を表現する場合は、クロスの方が優れています。逆に、風船のような閉じた立体を表現する場合は、ダイナミクスの方が優れています。したがって、ポリゴンに関しては、ケースバイケースで二つのダイナミクス機能を使い分けるようにして下さい。

クロスが扱える機能は、「場」、「衝突」、「変形」です。さらに、他のオブジェクトやタグを組み合わせることにより、「オブジェクト間のリンク」、「XPresso」なども扱えます。

 

8. IKタグ

「IK」タグは、キャラクタ機能の中に入っているIK専用のダイナミクス機能で、鎖のように一列にリンクされたオブジェクトにしか適用できません。ただし、全てのグレードで使えます。

IKタグが扱える機能は、「場」と「衝突」です。IKチェーンにトレーサを適用してスプライン化することも可能ですが、基本的にこの機能はIK専用と考えた方がいいでしょう。

 

9. 標準パーティクル

標準パーティクルは、CINEMA 4Dに最初に搭載されたダイナミクス機能です。そして、現在「場」と呼ばれている機能も、そもそもは標準パーティクル用に作られたもので、その後他の機能にも組み合わせられるように拡張されました。

標準パーティクルは、「パーティクル」に対する「場」の影響しか計算できません。また、「XPresso」も扱えません。しかしその分簡単で、全てのグレードで使うことができます。

 

10. ThinkingParticles

標準パーティクルと同じように、ThinkingParticlesの中にもダイナミクス機能が入っています。ただし、ThinkingParticlesは「Studio」グレードでしか使えません。

ThinkingParticlesが扱えるオブジェクトは、「ThinkingParticles」だけです。また、扱える機能は、「ThinkingParticlesの場」と「衝突」だけです。とは言ってもThinkingParticlesは非常に強力な機能なので、オブジェクトやクローンを連動させることができます。また、「パーティクル対オブジェクト」だけでなく、「パーティクル対パーティクル」の衝突も表現できます。

さらに、ThinkingParticlesはXPressoで拡張することを前提に設計されているので、プログラムを書けばいくらでも複雑な表現ができます。例えば、ThinkingParticlesをダイナミクスで動かすこともできますし、逆にダイナミクスをThinkingParticlesでコントロールすることもできます。

 

11. XPresso

XPressoもまた重要なダイナミクス機能の一つです。XPressoは、「オブジェクト」や「ポリゴン」、「スプライン」、「ThinkingParticles」を扱うことができます。また、XPressoは全てのグレードで使えます。

まず、XPressoの中には「衝突判定」や「距離」、「光線の衝突」といったダイナミクス機能の基礎となるノードが用意されているので、「重力」や「剛体の衝突」といった単純なダイナミクスは簡単に書くことができます。

次に、現実の仕事では、標準的なダイナミクスで表現できない特殊な要求が発生し、XPressoを使わざるを得ない、ということがよくあります。例えば現在のダイナミクスには「磁場」を表現する機能がありません。また、「流体(気体や液体)」を表現する機能もありません。

流体の働きを物理的に計算するのは非常に難しく、「RealFlow」のような専用のソフトウエアを使っても、目的とする絵を作れるとは限りません。そのような場合、目的に応じて単純化、特殊化した物理モデルを考え、自分でダイナミクス機能を作ることが唯一の解決方法となります。

 

 

Step 3

標準パーティクルと場

 CINEMA 4Dの標準パーティクルには、8種類の場(モディファイア)がありますが、他のダイナミクス機能に適用できるのは、次に説明する6種類だけです。「反射」と「消滅」は、標準パーティクル固有の機能なので使えません。また、場に含まれる「重力」や「減速」等の機能は、他のダイナミクス機能の側にも用意されています。しかし場は独立したオブジェクトなので、減衰や移動、回転のアニメーションを指定できるという利点があります。それでは、まずダイナミクスに慣れるために、一番簡単な場を使ってみましょう。

 

1. 引力

図621-1

引力は、本質的には重力と同じものですが、CINEMA 4Dでは便宜上中心点があり放射状に働くものを「引力」、中心点が無限遠にあり平行に働くものを「重力」と呼んでいます。これは、「点光源」と「無限遠光源」の違いと同じです。

引力の大きさは、中心点との距離の二乗に反比例します。また、マイナスの値を入力すれば斥力(反発する力)も表現できます。この点では重力よりも電気力に似ています。

 

2. 減速

図621-2

減速は、他のダイナミクス機能の中で「ダンピング」と呼ばれている機能と同じ働きをします。つまり、パーティクルの速度に応じた抵抗力を発生させ、抵抗力と外力(重力等)が釣り合うと、パーティクルの速度は一定になります。

 

3. 重力

図621-3

重力は、中心点が無限遠にある引力なので、ワールド全体に(強さ、方向とも)同じ力が作用します。重力は、重力オブジェクトの「-Y軸」方向に働きます。

 

4. 回転

図621-4

回転は、パーティクルにZ軸周りの速度を追加します。したがって、軸の中心に近いパーティクル程速く回転することになります。

 

5. タービュランス

図621-5

タービュランスは、ノイズ関数を使ってパーティクルにランダムな速度を追加します。ノイズ関数のスケールや周波数を変更することで、いろいろな動きを指定できます。

 

6. 風

図621-6

風は、本質的に重力とは異なる力ですが、CINEMA 4Dの場合は重力と全く同じ働きになります。つまり、風を適用したパーティクルの速度は、風速に関係なく無制限に大きくなります。風速を制限したい場合は、減速を追加して下さい。

また、風は内部にタービュランス機能を含んでいます。

次の章ヘ

MoGraphとダイナミクス: 2.リジッドボディとソフトボディ

リジットボディとソフトボディダイナミクスについて学びます。

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Step 1

リジッドボディ(剛体)の衝突

 「リジッドボディ」というのは、ダイナミクスの専門用語で「変形しないオブジェクト」を意味します。日本語では「剛体」と呼びます。一般的なリジッドボディは体積を持っていますが、CINEMA 4Dのダイナミクスでは「平面」や「ヌル」オブジェクト等の体積を持っていないオブジェクトでもリジッドボディの計算に含めることができます。ただし、「圧力」や「衝突」等いくつかの機能は使えなくなります。

リジッドボディの衝突は比較的簡単に扱えますが、引っかかりやすい点について説明しておきます。

1. 衝突判定 -> タグの継承

この値はデフォルトで「なし」になっていて、子オブジェクトは衝突しません。この値を「子にも適用」にすると、子オブジェクトが独立して衝突するようになります。また、この値を「階層全体を衝突判定」にすると、階層全体が塊として衝突するようになります。

図622-1

 

2. 衝突判定 -> 個別エレメント

このパラメータは「タグの継承」と似ていますが、クローナーやパーティクルのようにオブジェクトを複製する働きを持ったオブジェクトに対して、ダイナミクスを適用する場合に使います。この値はデフォルトで「オフ」になっていて、この場合クローン全体が塊として衝突します。この値を「全て」にすると、各クローンが独立して衝突するようになります。

図622-2

 

3. 衝突判定 -> 形状

この値はデフォルトで「自動」になっていて、オブジェクトを包む大きさの何種類かのプリミティブオブジェクトが衝突判定の計算に代用されるようになっています。これは、計算速度を速くするためで、ポリゴン1枚1枚の細かな形状は無視されます。また穴も無視されるので、トーラスなどではおかしな結果になります。このような場合は「可動メッシュ」に切り替えてください。

ただし、ポリゴン数が多いと非常に重くなります。このような場合は、簡略化したダミーオブジェクトを作成し、この値を「別オブジェクト」に切り替え、そのオブジェクトを代用して下さい。

図622-3

 

 

Step 2

クローンの衝突

 ダイナミクスは、MoGraphオブジェクトが生成するクローンに対しても働きます。つまり、ダイナミクスを適用したオブジェクトを複製すると、全てのクローンに対してダイナミクスが働くようになります。この働きは、「パーティクル」や「ThinkingParticles」、「配列」、「インスタンス」等多くの機能に共通しますが、ここでは、最も強力な機能であるMoGraphに関してだけ説明します。MoGraphオブジェクトに「ダイナミクスボディ」タグを適用する方法は二つあります。

1. 複製されるオブジェクトに適用する

この場合、オブジェクトごとに物性を変えることができます。また、「コネクタ」や「モーター」は必然的にオブジェクトごとに指定することになります。ただし、オブジェクト数が多い場合は設定が面倒になります。

2. MoGraphオブジェクトに適用する

この場合、全てのクローンに対して同じ物性が適用されますが、設定は簡単です。ただし、ダイナミクスボディタグの「衝突判定 -> 個別エレメント」を、忘れずに「全て」に変更しておいて下さい。そうしないと、クローン全体が一個の塊として計算されてしまいます。

図622-4

 

クローンに対してダイナミクスを適用すると、ダイナミクスの働きが支配的になり、イフェクタによる「位置」と「角度」の働きは消えてしまいます。ただし、イフェクタのそれ以外の機能(スケールやカラー等)は正常に働きます。また、次のような場合は、イフェクタによる位置と角度の情報がダイナミクスに影響を与えます。

1. ダイナミクスが働く前にイフェクタによって与えられた位置(角度)や速度(角速度)の値は、ダイナミクスの「初期位置」、「初期速度」として使われます(MoGraphとダイナミクス4のステップ2「初速」を参照)。

2. ダイナミクスボディタグの「フォース -> 位置追従、角度追従」の値を大きくすると、イフェクタの働きが「一種の外力」としてダイナミクスの計算に含まれるようになります(MoGraphとダイナミクス 4のステップ3「キーフレームアニメーションとダイナミクスを合成する」を参照)。

また、キーフレームアニメーションによる位置や角度の働きもイフェクタと同様に扱われます。

 

 

Step 3

クローン全体をリジッドボディとみなす

 ステップ2では、個々のクローンを独立して計算する場合について説明しました。これに対して、ダイナミクスボディタグの「衝突判定 -> 個別エレメント」を、「オフ」のままにしておくと、クローン全体が「一個の塊」として計算されます。こうすると、クローン一個一個はダイナミクスの計算から「解放」されることになり、その結果エフェクタの働きが戻ってきます。そして、エフェクタの働きによってクローンの塊が「変形」すると、それはダイナミクスの計算に影響を与えます。

図622-5

 

同様に、通常のオブジェクトの場合でも、その形状をデフォーマやPLAで「変形」させると、それはダイナミクスの計算に影響を与えます。

図622-6

 

つまり、CINEMA 4Dのダイナミクスにおける「リジッドボディ」というのは、私たちの日常生活における「剛体」とは少し異なっていて、柔らかく変形することもできるのです。ただし、その変形はエフェクタやデフォーマによってもたらされる変形であり、ダイナミクスの「ソフトボディ」機能による変形ではありません。その結果ダイナミクスは「騙されて」、柔らかく変形するオブジェクトをリジッドボディのまま扱うことになるのです。

このような使い方は非常に重要です。なぜなら、デフォーマやエフェクタはソフトボディより遥かに軽く、簡単に扱えるからです。つまり、柔らかく変形するオブジェクトをダイナミクスで扱いたい場合、いきなりソフトボディを適用するのは得策ではありません。可能な限りデフォーマやエフェクタを使うように工夫してみて下さい。

 

 

Step 4

リジッドボディの拘束

 リジッドボディの動きを完全に止めたい場合は、ダイナミクスボディタグの「ダイナミクス -> ダイナミクス」をオフにします。また、リジッドボディの位置や角度の値の一部を拘束、制限したい場合は、「コネクタ」オブジェクトを使って他のダイナミクスオブジェクトにリンクします。ただし、この機能はStudioグレードでしか使えません。これらの機能の詳細については、MoGraphとダイナミクス4を参照して下さい。

 

 

Step 5

ソフトボディ(弾性体)

 「ソフトボディ」というのは、ダイナミクスの専門用語で「変形するオブジェクト」を意味します。日本語では「弾性体」と呼びます。ソフトボディは、ポリゴンやスプラインを構成するポイントの間に「小さなバネ」を張り巡らし、ポイント間の距離や角度を変えることで表現します。したがって、ポイント数が多くなると、非常に重くなります。ソフトボディを使う時には、ポリゴン数を必要最小限にするよう気をつけて下さい。またソフトボディは、「多数のリジッドボディを小さなバネでリンクしたもの」と解釈することもできます。したがって、衝突や他のオブジェクトへのリンク等リジッドボディができることは全てできます。

 

ソフトボディを構成する小さなバネには3種類あります。これは、ヘアやクロス、他のソフトのダイナミクス機能にも共通する重要な原理です。よく理解して下さい。

1. 構造(引っぱり)

構造は、ポイント間に張られたバネで、二点間の距離を維持する働きをします。

一般的に、オブジェクトの固さに一番影響するパラメータで、例えば、「鎖」は構造が「100%」、折れにくさが「0%」のソフトボディです。

図622-7

 

2. シアー(歪み)

シアーは、四角ポリゴンの対角に張られたバネで、長方形が歪んで平行四辺形になるのを防ぐ働きをします。

したがって、スプラインで作ったソフトボディやヘアにはこのバネがありません。一般的に、四角ポリゴンの部分が詰まっているオブジェクト(例えば「紙」)はシアーの値が大きく、抜けているオブジェクト(例えば「網」)はシアーの値が小さくなります。

図622-8

 

3. 折れにくさ(曲げ)

折れにくさは、ポイントに置かれた回転バネで、そのポイントから伸びるエッジやスプラインの角度を維持する働きをします。

一般的に、厚みのあるオブジェクト程折れにくさの値が大きくなります。また、「鎖」のように関節を持ち、自由に曲げられるようになっているオブジェクトはこの値が「0%」になります。

図622-9

 

 

Step 6

クローン全体をソフトボディとみなす

 ダイナミクスは、クローンをソフトボディにできます。これはMoGraphだけの機能で、他のパーティクル等が複製するオブジェクトは、リジッドボディーにはできますが、ソフトボディーにはできません。

図622-10

ステップ9で説明するように、クローンのソフトボディは非常に重要な機能ですが、根本的な問題がいくつかあります。

1. クローンの間に隙間ができる。

クローンのソフトボディにおいて、クローンの衝突は正しく計算されます。しかし、クローンの間には何も存在しないので、他のオブジェクトがそこをすり抜けてしまいます。

2. クローンの回転を制御できない。

クローンのソフトボディにおいて、クローンは「ポイント上に置かれたオブジェクト」として計算されます。そして、ポイントには角度の情報がありません。したがって、例えばクローンの変形に合わせてクローンの向きを変える、といった簡単なことができません。

 

クローンのソフトボディを使う場合は、このような問題があることをよく理解しておいて下さい。

 

 

Step 7

ポイント選択範囲を使ってソフトボディの一部を拘束する

 リジッドボディは変形しません。したがって、「一部を拘束する」という考え方は無意味です。なぜなら、一部を拘束するのも全体を拘束するのも同じことだからです。それに対して、ソフトボディは変形します。したがって、一部を拘束してもその他の部分は動く(変形する)ことができます。これがソフトボディの特質であり、「一部を拘束する」ということが、ソフトボディを扱う上で非常に重要になります。ところが、CINEMA 4Dのダイナミクスにはソフトボディの一部を簡単かつきれいに拘束する方法がありません。非常に困ったことなのですが、以下にソフトボディの一部を拘束する四つの方法と、その利点欠点について説明します。ケースバイケースで適切な方法を選択して下さい。

1. ポイント選択範囲を使うと、簡単にポリゴンやスプラインで作ったソフトボディの一部を拘束できます。ただし、この機能は非選択ポイントを「ワールド」に拘束するので、その部分を動かせなくなってしまいます。例えば、この機能を使って自動車の荷台に網を張ると、自動車を動かした時にその網は自動車に付いてきません。

非常におかしな仕様で、ほとんどの場合この機能は使えないと考えた方がいいでしょう。ちなみに、「ヘアー」で同じことをすると、ワールドではなくオブジェクトに拘束されます。

図622-11

 

2. ソフトボディをオブジェクトに拘束したい場合、一番簡単なのは「コネクタ」を使ってソフトボディを別のオブジェクトにリンクする方法です。この場合もポイント選択範囲を使いますが、ダイナミクスボディタグではなく、コネクタに適用します。

ただし、コネクタは拘束した点をきれいに固定できず、かなり「ぶよぶよ」します。これが問題にならない場合は、コネクタを使うといいでしょう。

図622-12

コネクタについては、MoGraphとダイナミクス4のステップ4「ダイナミクスが適用されたオブジェクトをリンクする」も参照してください。

 

 

Step 8

XPressoを使ってソフトボディの一部を拘束する

3. XPressoを使うと、ソフトボディの一部をきれいにオブジェクトに拘束できます。ただしこのXPressoを作るにはダイナミクスの内部構造を熟知している必要があり、マニュアルを読んでもわかりません。実際私も独力でこのXPressoを作ることはできませんでした。考え方としては、XPressoを使って親オブジェクトの「速度」の情報、及び各ポイントの「絶対位置」の情報を、ダイナミクスを適用した子オブジェクトに伝える、ということになります。この「速度情報を伝える」という部分が難しかったのですが、結果的にXPressoの構成はそんなに難しくないので、何も考えずにこのXPressoをそのままコピーして使って下さい。

図622-13

 

Step 9

MoGraph選択範囲を使ってソフトボディの一部を拘束する

4. MoGraph選択範囲を使うと、クローンで作ったソフトボディの一部を簡単かつきれいにオブジェクトに拘束できます。

図622-14

この方法の問題点は、当然のことながら「外観がクローンである」ことです。したがって、外観をポリゴンにしたい場合は、XPressoを使ってクローンの変形情報をポリゴンに伝える必要があります。とは言っても、このXPressoは、単にクローンの位置情報をポイントに伝えるだけなので簡単です。もしうまく動作しない場合は、ダイナミクスのデータを初期化してみて下さい。

図622-15

また、線状のクローンからスプラインを作りたい場合は、トレーサを使います。この方法については、MoGraphとダイナミクス3のステップ1「スプラインのソフトボディ」を参照してください。

 

クローンをソフトボディ化するという考え方は、一見すると「使い道のない裏技」のように感じられるかもしれません。しかし、私は「CINEMA 4Dでは、クローンのソフトボディが一番使える」と考えています。

理由は簡単で、クローンのソフトボディには初めから「リジッドボディ」が含まれているからです。クローンのソフトボディにおいて、クローンの位置関係は変形しますが、クローンそのものは変形しないリジッドボディです。したがって、次のようなオブジェクトを簡単に作ることができます。

図622-16

もし、同じオブジェクトをポリゴンのソフトボディで作ろうとすると、大量のコネクタやXPressoを使ってリジッドボディをリンクしなければなりません。そして、それは非常に面倒で、おそらくまともに動かないでしょう。

ここで、クローンの脚が折れないように「角度を固定」という機能を使いました。ステップ6で説明したように、クローンの角度をコントロールするのは難しく、標準ではこれがほぼ唯一の機能です。

また、ダイナミクスに難しい計算をやらせると、オブジェクトが簡単に「発振」し、ひどくなると「発散、破綻」します。このような場合は、まずプロジェクト設定を開き、「ダイナミクス -> 詳細 -> フレーム当たりのステップ数」の値を大きくしてみて下さい。

 

クローンのソフトボディでは「破断」も扱えます。これは「クローンが連続していない」という弱点を逆手に取った機能で、ポリゴンやスプラインで作ったソフトボディではできません。

図622-17

また、ソフトボディーの性質は「頂点ウエイト」タグを使って自由にコントロールできます。クローンは頂点ウエイトを持てませんが、「オブジェクト」モードでクローンを作成した場合は、参照するポリゴンの頂点ウエイトをそのまま利用できます。

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MoGraphとダイナミクス: 3.スプラインとその他の機能

リジットボディとソフトボディダイナミクスについて学びます。

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Step 1

スプラインのソフトボディ

 スプラインのソフトボディを作るのは非常に面倒です。しかし、CINEMA 4Dにおいてスプラインは非常に重要なオブジェクトなので、この問題を避けて通るわけにはいきません。まずスプラインのダイナミクスが難しい理由を考え、一つ一つ対策していきます。1. スプラインには体積がないので、衝突を計算するのが難しい。原理的な問題です。ダイナミクスは、「スプライン対スプライン」や「スプライン対ポリゴン」の衝突を計算できますが、スプラインは必ず「ソフトボディ」に変換しておく必要があります。リジッドボディのスプラインは衝突しません。また、リジッドボディのポリゴンはうまく計算できず、スプラインが突き抜けてしまいます。この場合は、スプラインの「分割数」、ダイナミクスボディタグの「衝突判定 -> サイズの増分」、プロジェクト設定の「ダイナミクス -> 詳細 -> フレーム当たりのステップ数」の値を調整して対処します。

図623-1

またクローンをスプライン化する場合、クローンには体積があるので問題なく衝突を計算できますが、小さいオブジェクトだとクローンの間をすり抜けてしまうという問題が発生します。

 

2. スプラインの分割数を自由に設定できない

これも原理的な問題です。通常スプラインの分割数は、「見た目のスムーズさ」を調整するために使われる簡単なパラメータです。ところがダイナミクスは、この値によって分割されたスプラインの変形を計算するため、この値の大小が非常に重要になります。具体的には、見た目にスムーズになるようスプラインを細かく分割すると、計算が非常に重くなり、しかも破綻します。

この問題を解決するには、ダイナミクスの計算には粗いスプラインを使い、その形状を「トレーサ」で複製し、オブジェクトの表示には細かく分割したトレーサを使う、という面倒な作業を追加する必要があります。しかも、トレーサを使うと必ず1フレームの遅延が発生します。

図623-2

また、クローンのソフトボディをスプライン化する場合もトレーサを使う必要があります。

 

3. スプラインに他のオブジェクトをリンクするのが難しい

スプラインは、現実世界の「ヒモ」に相当するので、どうしても「何かをつなぐ」ケースが多くなります。ダイナミクスにおいて、オブジェクトをリンクするために用意されているオブジェクトは「コネクタ」ですが、計算が粗く本当に簡単なケースしか扱えません。

図623-3

図623-3を見ると、このような簡単なケースでさえ「handle」オブジェクトを強く動かした時にコネクタがずれて、破綻していることがわかります。

 

ところがクローンのソフトボディを使うと、より複雑なケースでも簡単かつ正確に表現できます。

図623-4

 

というわけで、スプラインのソフトボディに関しては、簡単なケースには「スプラインのソフトボディ」を使い、複雑なケースでは「クローンのソフトボディ」を使うことを私はお勧めします。

クローンのソフトボディを使う方法は、一見複雑で面倒に感じるかもしれませんが、スプラインのソフトボディを使ったとしても結局トレーサで複製する必要があります。また、「接続部分」には何らかのオブジェクトを置いて体裁を整える必要があります。であれば、最初からリジッドボディで接続部分が完成しているクローンのソフトボディを使う方が結果的には単純で扱いやすいと思います。

そして、もしどうしてもソフトボディをうまくリンクできない場合は、早めに掲示板等に質問して下さい。ソフトボディを扱うのはそのぐらい難しいのです。

 

 

Step 2

ソフトボディを膨らませる

 ソフトボディには、「圧力」というパラメータがあります。圧力を使うと、オブジェクトを風船のように膨らませることができます。この機能は、オブジェクトの中に封入されている「気体」を表現するためにあります。一般的に気体の体積は、圧力が変化すると自由に変ります。なお、この機能は「閉じた立体」にしか使えません。図623-5

 

Step 3

ソフトボディの体積を一定に保つ

 ソフトボディには、「体積を保持」というパラメータがあります。体積を保持を使うと、オブジェクトの体積を一定に保つことができます。この機能は、オブジェクトの中に封入されている「液体」を表現するためにあります。一般的に液体の体積は、圧力が変化しても変りません。なお、この機能は「閉じた立体」にしか使えません。図623-6

 

Step 4

ジグルを使って簡単にソフトボディを表現する

 「ジグル」は、ソフトボディ的な変形機能を持ったデフォーマです。衝突や正確なダイナミクス計算はできませんが、その分動作が軽く、簡単に使えます。また、「場」を使って動かすこともできます。例えば、キャラクターアニメーションに使う小物オブジェクトに柔らかさを与えたい場合には、ソフトボディよりもジグルを使った方がいいでしょう。

図623-7

ただし、ジグルはスプラインを扱えません。

 

 

Step 5

衝突を使って簡単に変形を表現する

 「衝突」は、ソフトボディ的な変形機能を持ったデフォーマです。正確なダイナミクス計算はできませんが、その分動作が軽く、簡単に使えます。例えば、「何かを包むオブジェクト」を作りたい場合に、「衝突」は最適です。まず、内部のオブジェクトと包むオブジェクトの位置関係を、「衝突対象 -> 解析」で指定します。また、内部のオブジェクトと包むオブジェクトの間に「隙間」を空けたい場合は、「詳細 -> サイズ」の値を大きくして下さい。図623-8

 

また、衝突の「形状を復元」の値を0にすると、変形を固定できます。専門用語では「塑性変形」と言うのですが、この機能を使うと「何かが通った跡」を表現できます。この機能は、ダイナミクスのソフトボディにはありません。

図623-9

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MoGraphとダイナミクス: 4.ダイナミクスのアニメーション

ダイナミクスのアニメーションについて学びます。

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Step 1

ダイナミクスの効果を切る

 まず始めに、アニメーションの途中でダイナミクスの効果を入れたり切ったりする方法を二つ説明します。ダイナミクスの効果を切る一番の理由は、「切らない限りオブジェクトを動かせない」からです。言い換えると、ダイナミクスの効果が続いている限り、オブジェクトをマウスでつかむことはできず、またキーフレームやエフェクタによって位置や角度の値を操作することもできません。

 

1. 「ダイナミクス -> 有効にする」

「有効にする」のチェックを外すと、全てのダイナミクス計算が停止します。

図624-1

したがって、ダイナミクスの働きによって移動、回転していたオブジェクトは、「有効にする」のチェックを外すと、即座に初期位置に戻って静止します。ダイナミクスの計算が完全に停止しているので、他のオブジェクトと衝突することもありません。また、コネクタや場、モーターなどの機能も全て無効になります。

「MoGraph選択範囲」を使うと、一部のクローンだけを有効にしたり、無効にしたりできます。

 

2. 「ダイナミクス -> ダイナミクス」

「ダイナミクス」を「オフ」にすると、ダイナミクスによる移動と回転の効果が停止します。しかし、他のオブジェクトと衝突し、コネクタやモーターなどの機能も全て有効です。つまり、ただ「動かない」だけであって、ダイナミクスのその他の機能は正常に働いているわけです。この機能は、「障害物」を作る時よく使います。

図624-2

次に、アニメーションの途中でダイナミクスをオフにすると、それまでダイナミクスの働きによって移動、回転していたオブジェクトは、ゆっくりと初期位置に戻って静止します。ゆっくり戻せるのはダイナミクスが働いているからです。この時、初期位置に戻るまでの時間を「ダイナミクス -> トランジッションの間隔」で指定できます。また、戻る時に、衝突を考慮するかどうかを「ダイナミクスの切り替え」で指定できます。

次に、「コネクタ」を使ってダイナミクスをオフにしたオブジェクトをダイナミクスがオンのオブジェクトにリンクすると、間接的ではありますが、ダイナミクスがオンのオブジェクトをマウスやキーフレームで操作できるようになります。これは非常に重要な機能です。

また、「MoGraph選択範囲」を使うと、一部のクローンだけをオンにしたり、オフにしたりできます。

 

このような理由から、普通はダイナミクスのオンオフでダイナミクスの効果をコントロールすべきだと言えます。しかし、このパラメータはオフにしても内部で計算が継続しているため、処理が重くなります。また、計算が継続していることが目に見えないため、思わぬトラブルの原因となるかもしれません。

したがって、複雑なシーンにおいて「このフレームではダイナミクスを全く使わない」とはっきりわかっている場合は、そこで無効にしておくといいでしょう。

また、シーンに非常に多くのクローンがあり、その一部にしかダイナミクスを適用しない、とはっきりわかっている場合は、「MoGraph選択範囲」を使って関係ないクローンのダイナミクスを無効にしておくといいでしょう。

 

 

Step 2

初速

 ダイナミクスの計算では、「初速」を与えることができます。初速とは、ダイナミクスの計算が始まった時にあるオブジェクトが持っている速度のことで、「移動」と「回転」のそれぞれに初速があります。初速の与え方はいろいろありますが、ここでは代表的な三つの方法について説明します。

 

1. 「ダイナミクス -> カスタム初期速度」で直接初速を与える

「カスタム初期速度」をチェックすると、「初期線形速度(初期速度)」と「初期回転速度(初期角速度)」の二つのパラメータが表示されます。ここで、初速を直接ベクトル形式で指定できます。

図624-3

 

2. キーフレームアニメーションから初速を引き継ぐ

キーフレームによって動いているオブジェクトに対して、あるフレームで「ダイナミクス」を「オン」にすると、それ以降はダイナミクスの計算が支配的になり、キーフレームの働きが無視されるようになります。

ただし、ダイナミクスがオンになった時にオブジェクトが持っていた「速度」は、初速としてダイナミクスに引き継がれます。

図624-4

 

3. エフェクタから初速を引き継ぐ

エフェクタによって動いているクローンに対して、あるフレームで「ダイナミクス」を「オン」にすると、それ以降はダイナミクスの計算が支配的になり、エフェクタの働きが無視されるようになります。

ただし、ダイナミクスがオンになった時にクローンが持っていた「速度」は、初速としてダイナミクスに引き継がれます。

図624-5

 

 

Step 3

キーフレームアニメーションとダイナミクスを合成する

 私はステップ2において、「ダイナミクスをオンにすると、キーフレーム等の働きは無視されるようになる」と書きましたが、「フォース -> 位置追従、角度追従」の値を大きくすると、キーフレームやエフェクタの働きがダイナミクスの計算に影響を与えるようになります。

この場合、キーフレームやエフェクタの働きは「一種の外力」として働きます。例えば、キーフレームによって指定された位置と、ダイナミクスによって指定された位置との間にズレがある場合、そこに「仮想的なスプリング」が追加され、そのスプリングの強度を「追従」の値で調整するわけです。

デフォルトでは、「追従」の値が「0」になっているので、このスプリングの働きは全く見えません。

図624-6

 

この機能を使うと、キーフレームアニメーションとダイナミクスアニメーションの中間的な動きを表現できます。またこの機能を使えば、エフェクタやXPresso等が生成した動きをダイナミクスに影響させることができます。

 

 

Step 4

ダイナミクスが適用されたオブジェクトをリンクする

 ダイナミクスの「コネクタ」オブジェクトを使うと、ダイナミクスが適用された2個のオブジェクトをリンクできます。コネクタでリンクできるのは、主としてリジッドボディです。ソフトボディは一応リンクできますが、リンクした部分がかなり「ぶよぶよ」するので、使い方に注意する必要があります。

コネクタの第一の目的は、「自動車の車体と車輪のように、リンクされたオブジェクトを表現する」ことですが、もう一つ「キーフレームやエフェクタ、XPresso等でコントロールされたオブジェクトの動きを、ダイナミクスでコントロールされたオブジェクトに伝える」という重要な働きがあります。この場合、キーフレーム等でコントロールするオブジェクトの「ダイナミクス」は必ず「オフ」にしておいて下さい。

次に、コネクタはMoGraphオブジェクトを使って複製できます。つまり、コネクタを適用したオブジェクトを複製すると、全てのクローンに対してコネクタが働くようになります。

コネクタはいろいろな方法(タイプ)でオブジェクトをリンクできますが、ここでは、よく使う三つの方法について説明します。

1. ヒンジ

「ヒンジ」は、「回転軸」です。この場合、自由な回転軸は一つだけです。回転角度を制限することもできます。

図624-7

 

2. ボールとソケット

「ボールとソケット」は、「ボールジョイント」です。自由な回転軸は三つです。

制限付きのボールジョイントを使いたい場合は、「ラグドール」を選択して下さい。また、自由な回転軸を二つに制限したい場合は、「カルダン」を選択して下さい。

図624-8

3. 固定

「固定」は、その名の通り二つのオブジェクトを固定します。自由な軸はありません。複数の部品で構成されたオブジェクトをダイナミクスで計算する場合、普通は親オブジェクトにダイナミクスボディタグを付け、「衝突判定 -> タグの継承」で「衝突判定形状を合成」機能を使って子オブジェクトを認識させます。

しかし、この方法では、全ての部品に同じ「物性」が適用されます。もし、一部の部品の物性を変えたり、リジッドボディとソフトボディを組み合わせたい場合は、XPressoを使うか、コネクタでリンクするしかありません。

図624-9

 

 

Step 5

リンクしたオブジェクトにスプリングを仕込む

 ダイナミクスの「スプリング」オブジェクトを使うと、「コネクタ」でリンクしたオブジェクトの間にスプリングを追加できます。

スプリングのタイプには、「リニア」と「回転」の2種類があります。ただし、スプリングにはコネクタの機能はないので、「リニア」の場合は「スライダー」コネクタ、「回転」の場合は「ヒンジ」コネクタでリンクしておく必要があります。

図624-10

また、スプリングはMoGraphオブジェクトを使って複製できます。つまり、スプリングを適用したオブジェクトを複製すると、全てのクローンに対してスプリングが働くようになります。

 

 

Step 6

リンクしたオブジェクトにモーターを仕込む

 ダイナミクスの「モーター」オブジェクトを使うと、「コネクタ」でリンクしたオブジェクトの間にモーターを追加できます。

モーターのタイプには、「リニア」と「回転」の2種類があります。ただし、モーターにはコネクタの機能はないので、「リニア」の場合は「スライダー」コネクタ、「回転」の場合は「ヒンジ」コネクタでリンクしておく必要があります。

さらにモーターには、「スピードを調節」と「フォースを適用」の二つのモードがあります。両方ともまず「フォース」または「トルク」で指定された力を加えてオブジェクトを動かします。

次に、「スピードを調節」モードの場合は、スピードが「リニアターゲットスピード」または「回転ターゲットスピード」に達っすると、それ以上スピードが上がらないようになります。「フォースを適用」モードの場合は、際限なくスピードが大きくなります。

図624-11

また、モーターはMoGraphオブジェクトを使って複製できます。つまり、モーターを適用したオブジェクトを複製すると、全てのクローンに対してモーターが働くようになります。

 

 

MoGraph基礎: 1. MoGraphとは何か

MoGraphの基本概念を学び、各機能について学んでいきます。

■講座テキスト

  1. MoGraph基礎: 1. MoGraphとは何か
  2. MoGraph基礎: 2. エフェクタ
  3. MoGraph基礎: 3. エフェクタの制限
  4. MoGraph基礎: 4.組み合わせ

Step 1

たくさんのオブジェクトを効率よく動かす

 MoGraphは、簡単に言うと「たくさんのオブジェクトを、効率よく動かす機能」です。ところが、CINEMA 4Dには他にも似たような機能があります。例えば「パーティクル」や「XPresso」、「ThinkingParticles」、「ダイナミクス」などです。それではなぜ、MoGraphという機能が新しく作られたのか、またMoGraphとその他の機能の関係はどうなっているのか、それを理解するには、まずCINEMA 4Dの「歴史」を振り返る必要があります。

1. CINEMA 4D R4以前

多数のオブジェクトを効率よく動かす機能はありませんでした。

2. R5

XLで標準のパーティクル機能が導入され、多数のオブジェクトを効率よく動かせるようになりました。しかし、あまり複雑なことはできませんでした。また、標準パーティクルの機能はR12まで進化せず、現在でもあまり複雑なことはできません。

3. R6〜R7

COFFEEエクスプレッションが導入され、テキストでプログラムを書けばかなり複雑なことができるようになりました。現在でも複雑な表現をする場合はXPressoの中に入っているCOFFEEノードを使います。

しかし、標準のパーティクルにはCOFFEEと連動するための機能がなく、COFFEEだけで多数のオブジェクトを動かすためには、必要な機能を全て自分で作る必要があり、非常に大変でした。

4. R8〜R9

XPressoとThinkingParticles(TP)が導入されました。XPressoはノードベースのプログラム環境で、COFFEEノードを使うとテキストベースのプログラムを混在させることもできます。また、TPはXPressoの中でパーティクルを扱うための拡張モジュール(ライブラリ)です。

XPressoとTPを組み合わせることで、プログラムを書けない人でも、それなりの機能を簡単に作れるようになりました。しかし複雑な機能を作るには、複雑なXPressoを組んだり、COFFEEを使ってプログラムを書く必要がありました。

5. R10〜R12

多数のオブジェクトを効率よく動かすもう一つの方法として「MoGraph」が導入されました。MoGraphには二つの側面があります。一つは、初心者向けに「プログラムを全く書かずに、XPressoやThinkingParticlesの機能を実現する」こと。もう一つは、上級者向けに「XPressoやThinkingParticlesの機能を拡張すること」です。

MoGraphは、一見初心者向けの機能に見えますが、至る所でXPressoやThinkingParticles、ダイナミクス、パーティクルと連動するようにできています。つまり、MoGraphを「新しい拡張モジュール」と考えれば、これまでのXPressoやThinkingParticlesを超える表現が可能になります。

 

このような歴史を鑑みると、現在のCINEMA 4D R12で最も効率のいい方法は、MoGraphで可能な表現はMoGraphだけで実現し、MoGraphを超える表現については他の機能を組み合わせて実現する、ということになるでしょう。

 

 

Step 2

MoGraphの基本

 MoGraphは非常に巨大な機能です。したがって「基本」を理解することが重要です。MoGraphに限らず、巨大なシステムには必ずしっかりした基本があります。MoGraphは巨大ですが、所詮は基本機能の組み合わせに過ぎません。つまり、基本をよく理解すれば自然と全体が見えてくるのです。例えば「言語」がそうです。「文字(音)」が組み合わさって「言葉」となり、言葉が組み合わさって「文章」となります。MoGraphも同じです。MoGraphの基本は以下の通りです。これについて、以下のステップで詳しく説明していきます。1. MoGraphは、「MoGraphオブジェクト」を使ってクローンを作る。

ここで、「クローン」というのは「たくさんのオブジェクト」という意味です。また、「直接クローンを作る方法」の他に、「何かを参照してクローンを作る方法」や「何かをクローンとみなす方法」があります。

 

2. MoGraphは、「エフェクタ」を使ってクローンをコントロールする。

また、MoGraphには、「MoGraph選択範囲」や「減衰」、「ウエイト」等エフェクタの働きを限定するためのいろいろな方法があります。

 

3. MoGraphは、他のCINEMA 4Dオブジェクトや機能と自由に組み合わせられる。

MoGraphは、普通のオブジェクトを参照して、普通のオブジェクトを作ります。したがって、他のオブジェクトや機能と自由に組み合わせられます。特に「ダイナミクス」や「XPresso、TP」、「Sketch And Toon」との組み合わせは重要です。

 

 

Step 3

直接クローンを作る

1. MoGraphの「クローナー」オブジェクトは、自分の子オブジェクトを複製してクローンを作ります。図601-1オブジェクトを直接複製する「モード」として、まず「線形」や「放射」、「グリッド配列」があります。この場合、「複製数」はクローナーの側で自由に指定できます。

2.  クローナーは複数の子オブジェクトを持つことができます。そして、子オブジェクトは指定した「ルール」にしたがって複製されます。まず、ルールを「反復」と「ランダム」にした場合、以下のように働きます。図601-2

 

次に「ブレンド」ですが、このルールには二つの働きがあります。まず、「同じタイプのプリミティブ」や「ポイント数が同じポリゴン」を入れた場合、ブレンドは「モーフ」として働きます。また、形状だけでなく、ライトに含まれる「色」や「明るさ」等のパラメータもモーフできます。

図601-3

 

また、異なった種類のオブジェクトを入れた場合、ブレンドは以下のように働きます。

図601-4

 

最後に「ソート」ですが、このルールはエフェクタの「クローンを修正」機能を使って操作することを前提としています。したがって、エフェクタを指定しない場合、複数のオブジェクトがあっても最初のオブジェクトしか使われません。

 

3. MoGraphにはクローナーによく似た機能として、「マトリックス」オブジェクトがあります。マトリックスは、言ってみればクローナーの機能の一部だけを取り出したもので、オブジェクトを複製せず、ただ座標だけを作ります。

マトリックスは、座標しか持たない故に「座標だけにデフォーマを適用できる」ことと、「ThinkingParticlesを生成できる」という利点があります。マトリックスについては次のステップ4で詳しく説明します。

 

4. MoGraphの「破砕」オブジェクトを使うと、「既に存在する」たくさんのオブジェクトを直接クローンにできます。この場合、破砕は何も複製しません。

図601-5

 

破砕は、エンジンやキャラクター等たくさんのオブジェクトで構成された複雑なものに、エフェクタやダイナミクスを適用したい場合に便利です。

 

 

Step 4

何かを参照してクローンを作る

1. 他のオブジェクトの上にクローンを並べたい場合は、クローナーのモードを「オブジェクト」に切り替えます。この場合、クローナーはリンクされたオブジェクトを参照し、自分の子オブジェクトを複製してクローンを作ります。参照するオブジェクトには、まず「ポリゴンやスプライン」を指定できます。

図601-6

 

また、「パーティクルやThinkingParticles」も指定できます。

図601-7

 

また、MoGraphの「マトリックス」オブジェクトも指定できます。

図601-8

 

ThinkingParticlesやマトリックスを使うと、間接的にクローナーをXPressoで制御できるようになります。現在のところ、直接クローナーやその他のMoGraphオブジェクトをXPressoで制御することはできません。

また、マトリックスを使うと、「オブジェクトの配列だけ」をデフォーマで変形できるようになります。一般的に、クローナーに直接デフォーマを適用すると、クローンまで変形してしまいます。

図601-9

 

2. 次に、MoGraphの「MoInstance」オブジェクトを使うと、リンクしたオブジェクトの「過去」を参照し、それをクローンにできます。この場合、MoInstanceは「過去のオブジェクト」を複製することになります。

図601-10

 

別の見方をすると、MoInstanceはフレームごとにオブジェクトを新規に複製し、しばらく維持した後消去する、「パーティクルに似たオブジェクト」とも言えます。

MoInstanceは、「時間にしたがって複製する」機能なので、アニメーションを再生していないと働きません。

 

 

Step 5

何かをクローンとみなす

 その他、MoGraphにはオブジェクト以外のもの、つまり「ThinkingParticles」や「文章」、「スプライン内部のポイント」、「押し出したポリゴン」、「ポリゴン1枚1枚」等をクローンとみなし、エフェクタを適用するためのオブジェクトがあります。1. MoGraphの「マトリックス」オブジェクトを使うと、ThinkingParticlesをクローンとみなして、エフェクタを適用できます。図601-11 

ThinkingParticlesは、直接クローナに参照させることもできるのですが、その場合TPの生成や消滅をTP側で制御する必要があります。ところが、マトリックスオブジェクトの「オブジェクト -> 生成 」で「ThinkingParticles」を指定すると、TPの生成や消滅までマトリックスオブジェクトの側で指定でき、操作が楽になります。

 

2. 次に、MoGraphの「MoText」オブジェクトを使うと、文章の「全て」や「行単位」、「単語単位」、「文字単位」をクローンとみなして、エフェクタを適用できます。

図601-12

 

Almost any element can be combined within MoGraph,
which offers you endless creative possibilities.
So take time out to experiment as much as
you can with MoGraph - no matter how crazy
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Creating spectacular effects and animations
using simple Primitives is as easy as
1-2-3 using MoGraph.

 

3. 次に、MoGraphの「MoSpline」オブジェクトを使うと、「スプラインを構成するポイント」をクローンとみなして、エフェクタを適用できます。

図601-13

 

また、MoSplineの場合はエフェクタに加えてパーティクルモディファイア(場)も使えます。

図601-14

 

4. 次に、MoGraphの「押し出し」オブジェクトを使うと、「ポリゴンを押し出した部分」をクローンとみなして、エフェクタを適用できます。

図601-15

 

押し出しは、デフォーマと同様に、自分の親オブジェクトや兄弟オブジェクトに対して働きます。

 

5. 次に、MoGraphの「PolyFX」オブジェクトを使うと、「ポリゴン1枚1枚」や「スプラインの断片」、「スプラインセグメント」をクローンとみなして、エフェクタを適用できます。

図601-16

 

PolyFXは、デフォーマと同様に、自分の親オブジェクトや兄弟オブジェクトに対して働きます。

 

 

Step 6

それ以外のMoGraphオブジェクト、シェーダ、ノード

1. 最後に、MoGraphの「トレーサ」オブジェクトについて説明します。トレーサは、リンクしたオブジェクトの「軌跡」からスプラインを生成します。しかしトレーサは、MoGraphオブジェクトとしては例外的に、クローンを作りません。したがって、エフェクタを適用することもできません。図601-17

トレーサは、他のMoGraphオブジェクトやパーティクルと組み合わせて使うための補助的なオブジェクトですが、とても面白い効果を出すことができます。

2. この他に、MoGraphには専用の「シェーダ」と「ノード」があります。これらについては、別の講座で詳しく説明します。

次の章

MoGraph基礎: 2. エフェクタ


MoGraphのクローナーに対して影響を与えるエフェクタについて学びます。

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Step 1

エフェクタの値で制御できるクローンのパラメータ

 MoGraphオブジェクトを使って作成したクローンは、MoGraphエフェクタを使って制御できます。このステップでは、まず「エフェクタの値」を使って制御できる「クローンのパラメータ」について説明します。1. エフェクタの値を使って、クローンの「位置」や「スケール」、「角度」を制御できます。図602-1ここで、位置と角度については、「パラメータ -> 空間を変形(制御する座標系)」で制御する座標系を「ノード(クローン)」、「エフェクタ」、「オブジェクト」から選択できます。

図602-2

 

また、スケールについては、「パラメータ -> 変形モード(スケールモード)」でスケールの方法を「相対」、「絶対(ウエイト)」、「再マップ(絶対)」から選択できます。

図602-3

 

例えば、エフェクタの値が「0〜100%」まで変化する場合、スケールの値を「5」にすると、「相対」ではスケールが「1〜6」の間で変化し、「絶対」では「1〜5」の間で変化し、「再マップ」では「0〜5」の間で変化するようになります。

 

2. エフェクタの値を使って、クローンの内部に含まれる「ポイント」や「ポリゴン」の位置を制御できます。

図602-4

 

この場合は、エフェクタを「デフォーマ」として使います。そして、クローナー等のMoGraphオブジェクトに限らず、CINEMA 4Dのどんなオブジェクトにでも直接適用できます。

 

3. エフェクタの値を使って、「カラー」を制御できます。また、シェーダやテクスチャを使ってカラーを変えることもできます。

図602-5

 

ただし、「MoSpline」、「押し出し」、「PolyFX」などは色を変えられません。理由は、これらのMoGraphオブジェクトが、クローンを独立したオブジェクトとして作らず、ポリゴンやスプラインの断片を「クローンとみなす」機能だからです。

また、「クローナー -> 変形(変換) -> 表示 -> カラー」を選択すると、クローンのカラーを「色付きのドット」として表示できます。

 

4. エフェクタの値を使って、「ウエイト」を制御できます。

ウエイトは、「エフェクタの値を増減するパラメータ」です。したがって、この機能はエフェクタAの働きをエフェクタBで制御する場合に使います。また、ウエイトは減衰の働きを増減する目的でも使えます(注1)。

それから、ウエイトは他の値を「スケール(つまり乗算、除算)」するのではなく、「増減(加算、減算)」するように働きます。

図602-6

 

他のエフェクタと組み合わせる際には、必ずウエイトを制御するエフェクタが先になるように注意して下さい。エフェクタの順番は、「エフェクタ -> エフェクタ」フィールドに表示されます。

また、「クローナー -> 変形(変換) -> 表示 -> ウエイト」を選択すると、クローンのウエイトを「色付きのドット」として表示できます。

注1. ウエイトは少し難しい概念です。ちょっといじってみて判らなければ、飛ばして先に進んで下さい。

 

5. エフェクタの値を使って、「U変形、V変形(U(縦)、V(横))」を制御できます。

MoGraphは、プリミティブと同じように全てのクローンにUVW座標を生成します。そして、エフェクタの効果はこのUV座標にしたがって計算されます。したがって、もしこのUV座標を変換すれば、エフェクタの効果も変ることになります(注1)。

図602-7

 

このUV座標は、もちろんシェーダやテクスチャを貼るためにも使われ、UV座標を変換すれば、シェーダやテクスチャの効果も変ります。

他のエフェクタと組み合わせる際には、必ずUやVを制御するエフェクタが先になるように注意して下さい。エフェクタの順番は、「エフェクタ -> エフェクタ」フィールドに表示されます。

また、「クローナー -> 変形(変換) -> 表示 -> UV」を選択すると、クローンのUVを「色付きのドット」として表示できます。

注1. U変形、V変形は少し難しい概念です。ちょっといじってみて判らなければ、飛ばして先に進んで下さい。

 

6. エフェクタの値を使って、「クローンを修正(クローンの順番)」を制御できます。

図602-8

 

この順番は、クローナーが複数の子オブジェクトを持っている場合に、どのオブジェクトを複製するかを決めるための順番です。クローンのIDとは違うパラメータなので、混同しないように注意して下さい。

 

7. エフェクタの値を使って、「時間オフセット(開始時間)」を制御できます。

図602-9

 

キーフレームアニメーションが指定されたオブジェクトを複製してクローンにした場合に、アニメーションがスタートする時間を制御できます。

 

8. エフェクタの値を使って、「可視性」を制御できます。

図602-10

 

可視性をチェックすると、エフェクタの値が50%以下のクローンが見えなくなります。

 

 

Step 2

値を1で固定

 MoGraphエフェクタの多くは「エフェクタの値」を持っています。まずMoGraphの「簡易」エフェクタの場合、イフェクトの値は「1」で固定されています。したがってユーザにできるのは、それを適用するパラメータや減衰を指定することだけです。例えば「Y位置」の値を「200」にすると、クローンのY位置は全て「200」になります。これは、イフェクトの値が1に固定されていて、「200*1=200」だからです。

図602-11

簡単なことしかできませんが、その分処理が軽いのでよく使います。

 

 

Step 3

値をランダムに変える

 MoGraphの「ランダム」エフェクタを使うと、エフェクタの値をランダムに変更できます。例えば「Y位置」の値を「200」にすると、クローンのY位置はデフォルトで「-200〜200」の間でばらつくようになります。これは、イフェクトの値が「-1〜1」の間でランダムに変化し、「200*-1= -200〜200*1= 200」だからです。図602-12ここで、イフェクト値の範囲は「エフェクタ -> 最大/最小」で指定できます。

 

また、ランダムモードを「ノイズ」や「タービュランス」にすると、ランダムの値をアニメーションできます。また、ノイズやタービュランスには「スケール」というパラメータがあり、変化のスムーズさや細かさを変えられます。

図602-13

 

 

Step 4

値をシェーダやテクスチャで変える

 MoGraphの「シェーダ」エフェクタを使うと、シェーダやビットマップテクスチャを使ってエフェクタの値を変更できます。例えば「Y位置」の値を「200」にすると、デフォルトでシェーダの値が「0」の位置にあるクローンのY位置は「0」、シェーダの値が「1(100%)」の位置にあるクローンのY位置は「200」になります。

図602-14

 

Step 5

値をサウンドで変える

 MoGraphの「サウンド」エフェクタを使うと、サウンドファイルを使ってエフェクタの値を変更できます。

図602-15

 

サウンドは、周波数ごとにエフェクタの値を変えることができます。この時、低音側が小さなIDのクローンに対応し、高音側が大きなIDのクローンに対応します。また、エフェクタの値は音の強度によって決まります(サウンドファイル)。

 

 

Step 6

値をIDで変える

 MoGraphの「ステップ」エフェクタを使うと、クローンのID(番号)を使ってエフェクタの値を変更できます。

図602-16

 

クローンのIDは、「ウエイト」や「UV座標」とはまた違ったパラメータなので、混同しないように注意して下さい。

ステップの場合、エフェクタの値は「ID/クローンの総数」になります。

 

 

Step 7

値を時間で変える

 MoGraphの「タイム」エフェクタを使うと、時間(CINEMA 4Dのタイムライン)を使ってエフェクタの値を変更できます。タイムを使うと、キーフレームを打たずに、クローンに連続的な動きを指定できます。図602-17タイムの場合、「1秒」がエフェクタ値の「1(100%)」に対応します。

当然ですが、タイムは「時間にしたがって変える」機能なので、アニメーションを再生していないと働きません。

 

 

Step 8

値が戻るのを遅らせる

 MoGraphの「ディレイ」エフェクタは、他のエフェクタによって変更されたクローンの「位置」や「スケール」、「角度」の値が元に戻るのを遅らせる働きをします。つまり、ディレイ自身は何もしないので、必ず他のエフェクタと組み合わせる必要があります。

図602-18

 

ディレイを他のエフェクタと組み合わせる際には、必ずディレイが後になるように注意して下さい。エフェクタの順番は、「エフェクタ -> エフェクタ」フィールドに表示されます。

また、ディレイは他のエフェクタの働きを「時間にしたがって変える」機能なので、アニメーションを再生していないと働きません。タイムマーカーが止まっている場合、結果的に他のエフェクタの働きも止まってしまうので、注意して下さい。

また、このエフェクタは固有の「値」を持たないので、それ以外のパラメータを変更することはできません。

 

 

Step 9

ターゲットオブジェクトから情報を継承する

 MoGraphの「継承」エフェクタは、リンクされたオブジェクトの「位置」、「スケール」、「角度」の値を直接クローンに入力します。また、ターゲットオブジェクトがキーフレームアニメーションを持っている場合、継承の「遅れ」を指定することもできます。図602-19ただし、このエフェクタは固有の「値」を持たないので、それ以外のパラメータを変更することはできません。

 

 

Step 10

スプラインに沿って並べる

 MoGraphの「スプライン」エフェクタを使うと、スプラインに沿ってクローンを並べることができます。

図602-20

 

ただし、このエフェクタは固有の「値」を持たないので、それ以外のパラメータを変更することはできません。

 

 

Step 11

ターゲットオブジェクトの方向を向ける

 MoGraphの「ターゲット」エフェクタは、リンクされたオブジェクトの方向にクローンを向けます。

図602-21

 

また、ターゲットオブジェクトが近づいた場合に、それを避けるようにクローンを移動させることもできます。この機能をカメラに適用すると、カメラがクローンにぶつからなくなります。

ただし、このエフェクタは固有の「値」を持たないので、それ以外のパラメータを変更することはできません。

 

 

Step 12

その他のエフェクタ

1. MoGraphの「グループ」エフェクタを使うと、複数のエフェクタをグループ化し、一つのエフェクタとして扱うことができます。2. MoGraphの「COFFEE」エフェクタを使うと、COFFEEスクリプトを使ってエフェクタの値を変更できます。

 

3. MoGraphの「数式」エフェクタを使うと、エフェクタの値を数式で変更できます。

 

4. MoGraphの「ボリューム」エフェクタを使うと、ポリゴンオブジェクトの内部にあるクローンに対してエフェクタの値を「1」にします。

 

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